目元がほんのり紅いので、額に手を伸ばしたら思いきり体を引いた。
「な、なんですか」
「風邪じゃないの、不破くん」
「違いますよ」
首をぶんぶん横に振る。頭が飛んでいきそうなその勢いについ笑うと、恥の頂点に達したのか間もなく彼の顔全体が紅になる。
「っ、失礼します!」
身を翻してざかざか走って遠のく姿に追い討ちを一つ。
「あ、不破くん明日の図書当番一緒だからよろしくね」
「え!」
予想通り振り向いた。
「先輩、僕、あの!」
挙動不審だ。あぁおかしい。
「不破くんさぁ」
「は、い?」
「そんなんだと誤解するよ」
「何が…ですか…」
「私のこと、」
「きっ、嫌いじゃないです!」
あ!
「言ったね!言ったね!」
「いやっうわぁあなんでもないですさよなら!」
にやにや背中を見送った。
明日が楽しみだなぁ。責任感はあるからサボらないだろうし、まぁせいぜい一晩思い悩むがいいさ。