花の様な男
華のある男


「………やーい、ハナ男」
「意味がわからん上に不愉快なんだが…」


空中を見つめてぼんやり呟けば
やはり空中を見つめてぼんやり返された

実に虚しいとは思いやしませんか


「なんか良いよね、ハナ男」
「鼻に特徴がありそうな男みたいな呼び名はよせ」
「仙蔵はねぇ、綺麗だからさ」
「………」
「一緒に居たくないね」


反応を窺おうと仙蔵をみれば気持ちは一緒らしかった
ぶつかり合う視線なんて離すもんじゃない


「どんなに華があろうとも」
「なに」
「結局花には水が無ければ枯れてしまうぞ」
「ちょっ、待って」
「私が花ならば、つまるところお前は水だな」
「く!」
「は?」
「くさい…!」


大方予想はついてたけど
言いやがっ、た


「名前、お前なあ」
「だってー!あはは!!」
「言葉の表現では足りないか」


爆笑する私にやれやれと近付いた彼はおもむろに乗っかった

乗っかった?


「それなら体で証明するまでだ」
「ま、まま待って!話し合おう互いに善処しよう!!」
「お前がおとなしく喰われるのが一番の善処だな」
「このハナ男!」
「何だミズ女」
「あ!」


私達、足したら鼻水だね!

最後まであがいた口は塞がれ、その後なんて言いたくもない