女を見た。
なんとまぁ肌寒いこの季節に薄い布着一枚という格好で
ざわざわと揺れるのは多分横にある神社の敷地内の木々で
黒い髪の女は青白い肌をしていて
もう会うこともないだろうと思ったので からかった
「あんた幽霊?」
「神社の前で随分失礼なこと言うじゃない」
大きな黒目がちの女は。
「鋭いのね」
擦れ違ったと思うと、振り返ったら いなかった。