食堂にて、雷蔵と三郎は非常に不憫な現場に遭遇した。


「さっさと食べてよ兵助」
「いや、自分もう見てるだけでお腹一杯ですごちそうさま」
「ぶっ殺すよ」
「(なんにせよ死にそうだ)」



「なんだ、あれ」
「きょうくの一教室は調理実習だったんだよ」
「げぇ、毒料理か?」
「ううん、普通の料理」
「それなら問題ないんじゃ……あ、」
「うん」


名前の料理の腕はすこぶる悪い。


「さぁ、お食べなさい」
「うぅ……い、ただきます」



「普通の料理作っても毒料理なんてお得な奴だ」
「食べさせられる兵助は災難だけどねぇ」
「お、食ったぞ」



「どう?」
「うん、この豆腐は美味いと思うよ!」
「本当に!?」



「なぁ」
「なに」
「あの豆腐って唯一マヤが手ぇかけてない料理つか食材だよな」
「うーん、兵助にしては珍しく巧いこと逃げた方だと僕は思うけど」


まぁ、本人が良しとしてるのでそれに越したことは無いのだろう。


「明日も調理実習だから頑張るね!」
「う、ん」


良しとしよう。