「あーっはっは!はっはっは!」
「…笑い過ぎじゃない?」
「だって綾部!むはは!」


二の句もろくに次げない彼女が指差す先には、ぼろ雑巾の様な滝夜叉丸と、へろへろに憔悴している三木エ門がいた。


「ふふ、見た目綺麗な連中がこういう格好って……愉快だわ!」
「(歪んでるなぁ)」
「笑うな」
「しかしお前は汚過ぎるだろ、滝」
「三木エ門こそ十は老けこんだぞ、何をしたんだ」


やいのやいの騒ぐ二人を横目に一頻り笑ったあと、彼女は尋ねた。


「実習?」
「違う、それなら綾部がそこで笑ってるわけがないじゃないか」
「確かに」
「どうせ厳しくもまれたんでしょ」
「なんのこと?綾…」
「委員会だよ」
「くふぅ!」
「笑うな」
「笑う要素が何処にあった」
「滝は体育だからズタボロなのはわかるけど…」
「三木は三木でキツイんだよ」
「そうだ、うちほど厳しい鍛練を積む委員会はまず無いな!」
「なんで会計が鍛える必要があるんだ!」
「…お前、それを潮江先輩に向かって言えるのか…?」


正直、三木にも理由がわからない。

なんだか遠い目をしていると、やはり彼女は笑い出した。手まで叩いて勝手に大盛況している。


「楽しそうだな…」
「ほら、笑い上戸だから」
「当分止まらないか」
「幸せな奴め」


響くのは彼女の笑い声。