(取り返しつかない)



変だ。変だ。

でも気持ちが良い。
抱きしめてると柔らかくって、うっかり幸せな気分になる。

この想い、伝わらず。

俺に代わって不機嫌な小さい彼女。
抵抗しないからさ、いいもんかと思って、しめたと思って、浅ましさ全開の畳の上。

うしろめたさなんてそんなもの。


「………なんも言わないね」
「許されるとお思いか」
「俺、髪フェチだから」
「答えになってないよ」


彼女の頭に頬を乗せる。
さらさらした髪は好きなんだ。
抱きながら片方の手を髪に滑らせる。


「本当にいいなー、これ」
「髪だけ?」
「………いや、他もね、好きだけどね」
「間があった。もー離してよ、あたしタカ丸嫌い」
「なんで」
「……………」
「ほら、答えられない。無理しちゃって」


好きだよ。

もちろん髪だけじゃないし、仮に髪結いとかじゃなかったとしてもね。君が好きなんだ。


(許されるとお思いか)


うん。