お人形さんみたい。


って言ったら口をきいてくれなくなりました。

早いもので一週間。
もういい加減私は綾部くんとお話したくて堪りません。

けれど、どんな罠を仕掛けても彼はひらひらと交わしてしまいます。
そういえば罠って綾部くんの得意分野だったな。
私は頭が足りないみたいです。


今日は思い切って待ち伏せてみました。
丸い目が私を映して光ってます。きれい。

綾部くんは、よその国のお人形さんみたい。
つやつやの肌もふわふわの髪も華奢な体も麗しい顔も全部人間で無い気がします。

つまり、彼はつくりものなのです。


「ねぇ、君、なんなの」
「綾部くん、お話しよう」
「いやだよ」
「なんで」
「だって君は私にとって不快なことしか言わないんだもの」
「……………」
「頭、足りなかったりする?」


頷くと、綾部くんはつくりものの顔をにっこりさせて私に言葉をかけてくれました。


「なんだか可哀想だね」


つくりものに同情されてしまいました。
それでも私は、私は綾部くんが好きなのです。とても。


「君の方がよっぽど人形っぽい」


そうかな。
あぁ、でも口をきいてくれて良かった。