「今忙しいんだから大人しくしてろ」


一蹴されて項垂れた。
背中を恨みがましく睨んでも振り返らずに算盤をばちばち弾いてる。
委員の仕事に加え、そこかしこに書物の山、山、山。

元来勉強が嫌いな自分にとっては信じられなくも尊敬する光景であり。感服。


「いつ終わんのー」
「……………」
「(シカトかい)」



ばーかあーほどじまぬけー

なんて罵ってもつまんない。
相手が反応するからこそ楽しいのです。

三木は普通に頭がいい。
滝と張り合って成績を競うもんだからそれこそトップレベル。


ずりずり、と畳を這って接近する。
眼が合っても「邪魔くさい」みたいな顔ですぐそらす。

胡坐を掻いたその足に、頭を乗せて寝っ転がったら驚いた。
顔が赤い。もう一押し。


「馬鹿、お前なぁ」
「三木」
「……………」
「好き」



もう駄目だ。
やること全てに手がつかない。

そんな感じで観念したように上を向いて嘆いた三木を見て、にやりと笑った。