座ったまま、ぐっと後ろから抱かれる。
14歳。
始まる性差に、互いの体のつくりは勿論のこと、大きい彼の体に小さい私はすっぽり収まってしまうのだけど
後ろから体重をかけられると必然的に前にのめる訳で。


「…雷蔵」


益々体重がかかる。
両手をついて踏ん張るけれど、正直苦しい。


「雷蔵ってば」


不自然な位置で突っ張る両手も限界で、
私の声に彼はうんともすんとも言わなくて、
とうとう、


「痛い…」


べちゃり、と畳に崩れた。

上に乗っかる雷蔵は、まだ離れる気配がない。


「ふざけてんの」
「……………」
「まさか、まだ怒ってんの」


図星だったらしい。
すぐ上から小さく、あんまりだ、と聞こえた。


「僕と付き合ってるクセに」
「うん」
「なんで、あんな…」


また、あんまりだ、と聞こえた。


雷蔵の尊敬する中在家先輩と、こっそり口付けを交わしたのは昨日のこと。
一寸前が過去の私にとってそれはもうどうでも良いことになりつつあったのに、どうやら雷蔵は違ったらしい。

駄目押しでもう一言「重い」と不満を言えば。


「もうしないって約束するまで退かないから」


屈強な声に私は情けなくも「あぁ、そう」としか言えなくて。


(ちょっと重いんだけど)

(私にとって、君は)