「………俺のせいではない」
「…でもさぁ、これは良くないよ。うん」


でかでかと
 はられたるは
  ふしんなかみ。


in図書室。

貼り紙はいつもだけど、今回ばかりは内容がよろしくない。


まぁ、長次が書いたんですけどね。
幸いなのは今この場に私達以外居ないことだろうか。

……………。


「長次、音読してみ」
「…………」
「他に人居ないんだから声出しても平気だって」
「………『二人に付き合いなど一切無い』」
「よく出来ました」


ついでにため息も贈ろう。ひとつ。

ていうか何よこの紙。


「そんなに私と噂されるの嫌だったの」
「………誤解…される」
「されてるから噂なんだよ…」


べり、と紙を剥がした。
長次にしては下らない事をしたと思う。
紙を丸めながら背を向ける。無言。
居た堪れない空気に私は退室したかったのに、長次の腕がそうはさせまいと強く引っ張る。


「なに」
「…………」


ぱ、と離された。

何が言いたいのかはわかったので退室することが出来た。


私は長次がきらいじゃない。
それはきっと彼も一緒だ。

面白い。

噂なんて七十五日。
足掻くも、近付くも

(一人でどうぞご勝手に)