「滝が病気のときは私が看病してあげるね」
にっこり笑う彼女に彼は顔を引き攣らせた。
「馬鹿言え、誰がお前なんかに…」
「馬鹿言ってんのはアンタよ、ここ何処だと思ってんの」
一転して呆れた顔。
ここは保健室、彼女は保健委員。
ものの見事に体調を崩しまして。
居なければ良いのに、という願いも空しく彼女に迎えられて今に至る。
「でもよかったねぇ」
「…なにが」
「馬鹿は病気しないのよー」
遠回しに馬鹿にされている。と思う。
絶対に認めてなるものか、と張った意地は彼にとんでもない嘘を吐かせる事となる。
「なぁ」
「どんな症状なの?薬を…」
「私は断じて病気ではない」
「なによ」
「強いて言うなら、」
真剣な顔で言葉をきった彼に、不覚にも彼女は喉を鳴らせた。
「お前に恋の病だ」
「あっはっは、やっぱり馬鹿なんだわ。よって付ける薬はありません、帰れ」
即答で追い出された彼は彼女の赤い顔を見ただろうか、はたして。