小松田さんと同い年にして同レベルと評判の事務員が居る
二人して、いつまでもへラへラ
俺と一つしか歳が違わねぇのに差が有りすぎんだろ
十六歳、そんなもんなのか?


「あ、潮江君だ」
「文次郎君だ」


やぁ元気?

ぶんぶん振られた手は二人分
小松田さんと、…名前さん


掃き掃除をしてるのか知らないが、手の箒は只の飾りか?
落ち葉だらけの地面

足で払って
厄介なのに捕まってしまったなどと思う

一応、歳上は敬わねばなるまい
俺より不安定な二人だとしてもだ


「潮江君、授業終わったの?」
「文次郎君は頑張るもんねー」
「………」


へラへラ

なんだ 気にくわねぇ


「…アンタら、よくもまぁ気が軽くて羨ましい」
「わぁ羨ましいってさ名前ちゃん」
「今夜は赤飯ねー」


へラへラ

やめろ 勘に障る


二人から勝手に流れる会話に押し黙っていたら
後ろから怒号

あぁ、吉野先生だ!

小松田さんの呑気な声に血が退いたのは俺だけだ


「何なの君達、全く掃けてないじゃありませんか!」
「ごめんなさい吉野先生」
「すみません吉野先生」


その勢いにやっと我に返りそのまま去ろうとしたら掴まれた肩

置かれた手、二人分

ヘラヘラ


「潮江君もちょっかい出さないで下さい!はい君の分の箒!!」
「ほ…っ、え?」


問答無用で押し付けられた箒と事務員二人

去ったのは、俺じゃなくて吉野先生


「あらら潮江君悪くないのにねぇ」
「文次郎君可哀想だねー」
「…誰のせいだと思っ」
「「君のせい」」


へラへラ

掴まったら逃げられないから苦手だ
そう、本当になんとなく

(なんとなくだけど)