アホみたいに背丈ばっか伸びやがって。
「……………」
「なんでさっきから黙ってんの?」
「……………」
「団蔵、何かしたの?」
「虎若こそ」
「……………」
「「どうしたの?」」
二つの大きい影に挟まれる小さな自分の足元を見つめた。
機嫌、悪いよ。
なんか、
「…背ぇ、伸びたね二人とも」
「へ?あぁ…」
「うん」
置いてかれたみたいだ。
目線が合わないのは下を見てるからだ見てるだけだ見ちゃならない。
呆れた様に虎若が笑った。
団蔵は首を傾げてた。
揺れる影。
「虎も団蔵も、ばか」
「わぁ、機嫌悪いな」
「羨ましいんだろー」
「………ばーか」
「まったく」
ぐ、と左右から手を掴まれて引っ張られ、体が前に動く。不安な視線は団蔵と虎若だけ映して痛かった。
「おいてかないよ」
厄介だしね。
そう笑って大きい影が私を連れていく。
その手をしっかり掴んで必死に歩いた。