鏡を覗くと其処には。
「……おい…、何だこりゃ」
「え?」
顔一面、まんべんなく包帯が巻かれていた。
目と口の部分が開いてるだけで、残りの肌色は首下まで白で覆い尽されている。あまりにも不気味なのでゾッとした。
これ誰だ?俺か?俺なのか?
鏡から目を離し、ジトッと恨めしげに手当てをした張本人を見る。一旦目が合うと誤魔化す様に手元の片付けを開始した。
「……………」
「あ、あはは、私今期から保健委員で…まだ慣れてないっていうか不器用っていうか」
「これは酷すぎだ、巻けば良いってもんじゃない」
「そうですかぁ?…あっ、外さないで下さいよー」
呆れて包帯に手をかけると向こうから腕が伸びてそれを制す。手が重なった。睨み付ければ慌てて離れた。
「何年だ、お前」
「学年ですか?四年生です」
「……だったら残りの二年使ってまともな包帯の巻き方覚えろ。被害は俺だけで充分だ」
「はぁい…」
根は素直らしく、しゅんとしている。暫く互いに無言だったが「もう一度巻かせて下さい」と意を決した様に言ってきたので任せることにした。
先ほどの小さく柔らかな手がかけられた、その時。
「っ、ギャー!ミイラ男ぉ!!」
襖から第三者、委員会の後輩…
「おい、団蔵」
「わー!わー!わー!」
「テメッ 人の話を…あー」
誤解を抱いたまま後輩は走り去っていく。やり場のない苛立ちに再度保健委員を睨み付けると、バツが悪そうに笑った。
「………ハロウィンだからいいんじゃないですか?」
「いい訳あるかバカタレ!」