自覚した頃には手遅れだった。雷蔵、お前やつれてね?ハチに勢い良く背中を叩かれただけで簡単にぶっ倒れてしまった。


「雷蔵くん」
「んー…」
「起きた?」


ぼんやり目を開けたら名前ちゃんがいた。いかにも心配ですという顔で横から覗き込まれている。やたら近くて驚いたけど、それだけじゃなかった。頭の下が柔らかい。薬っぽい匂いからここが医務室だとは理解したけれど、枕はこんなに柔らかくなかった筈だ。
跳ね起きると体が痛んだ。


「いたた…」
「無理しないで」
「あ、あーあー…ごめん!」
「いや、別にいいけど」


呆れた風に笑う名前ちゃんに曖昧な言い訳をすると笑われたので頭を掻いた。顔中に集まる熱に参りながらも、もう少しだけあのままでいればよかったかなとも思った。