行ってきましたー(`・ω・′)
すごい楽しかったです…なにあのアットホームな雰囲気。惚れてまうやろー!

今週の月曜日だったのに、まだ思い出せるあの萌え…わかったことは、盗賊は特別なネタじゃなくて日常のふとした一瞬のネタに非常に萌えるってことでした。コーヒーとか醤油とかソースとか…個人的にタバコの話もすごい萌えました…(*^^*)

ってことで、スケブのお礼というか、なんというか。お礼になればいいですね…
下から、さんいべにもいべさんにも見えるような見えないような盗賊です。階段を駆け上がってますよ!(笑)










 朝、あとしばらくすれば始業のチャイムが鳴るか、という頃。俺はイヴェールと並んで一限目の授業内容やホームルームの時に配る手紙なんかの確認をしていた。思いの外嵩張っているプリント類をバインダークリップで留め、隣にいるイヴェールを見やると珍しくなにやら悪戦苦闘していた。

「どした?」
「いや、封筒が多くて。」
「あー、今日明細的なのとか配るもんな。」
「そう……あ、くそっ、ばらけた。」

 イヴェールの手元には手紙類を入れるための緑の籠。いつもは気持ち悪いくらい完璧に整理されている中身は、今は手紙の大洪水のような状態になっていた。

「うわぁ、なんでそんなに多いんだよ。俺半分くらいだわ。」
「嘘だろ……。」

 信じられない、と呟いたイヴェールは、しかしがっくりと項垂れたままというわけにもいかず、のろりと億劫そうに席を立った。俺もそれに続いて立ち上がって、同時に職員室を出た。
 廊下を歩きながら、体育の予定や生活や算数の授業内容の確認などを含めつつ、お互いに適当な雑談をするのがこの時間の楽しみだ。自分が担任をする子供達の成長はなんだかんだ言っても嬉しく、イヴェールの顔も俺の顔も笑みを浮かべていた。イヴェールは顔の綺麗さ故というか、どことなく近づきがたい雰囲気のせいで初めのうちは子供に懐かれにくいらしい。本人いわく「そんなに怖い顔じゃないはず」とのことだが、俺は子供の態度の理由も納得できる。近づきがたいというか、要は絡みにくいのだ。美人過ぎて。
 そういえば、とイヴェールはプリントの海の中から、なにやらチケットらしきものを取り出した。

「これ貰ったんだけど、日曜ヒマだろ?」
「なんで断定口調…いや、暇だけどさ。」
「よし、じゃあこれ見に行くぞ。」
「えー……。」
「お前が見たがってた映画の最新作。」
「乗った。」

 一枚を取って、自分のポケットの中に突っ込む。イヴェールはほらみろ、という顔をしつつも余ったもう一枚を自分の胸ポケットに入れた。

「時間は?」
「日曜駅前の西口、午後三時。映画が始まるのが五時半だから、それまで喫茶店で時間つぶすか。」
「あ、俺DVD借りたい。」
「映画観る前に借りるのかよ。」
「前作借りたいんだよ。最新作見たらさ、古いの見たくならね?」
「まあな。じゃあDVD借りてから映画館行くか。」

 日曜の予定も無事決定し、時計を見ればチャイムまでは残り三分。慣れた足取りのままたどり着いた最難関に、隣で重々しいため息が漏れた。
 俺たちが担当する一年生の教室は、ちびっこがこれから体力をつけていくためにも三階に位置している。子供用の小さい階段は、小さいからこそ段数が意外に多く、毎日上がるとはいえかなりの重労働だ。俺はまだ体力がある方だが、イヴェールは毎朝「これだけはいただけない…」と死にそうな顔で呟いている。あんまりにも悲壮感漂う顔をするから、一時期はエレベーターを勧めていたけど、そうすると今度は「老人扱いすんな!」と怒るし。まったく、このイヴェールという男は本当に扱いにくい。
 今日もまた相変わらずの悲壮感を漂わせ始めたイヴェールを見て、俺はふと思い出した。昨日の帰り、放課後まで遊んでいた生徒たちが、どちらが早く階段を降りれるか競っていたのを。教師という立場上一応は注意したものの、イヴェールもこれくらい元気があればいいのに。

「なあイヴェール」
「なに?」
「階段、どっちが上まで早く上がれるか競争しねえ?」

 にやり。口の端を吊り上げてそう言えば、一旦はぽかんとしたものの、すぐに事情を呑み込んだらしいイヴェールは同じく口の端を吊り上げた悪い笑みを浮かべた。

「勝った報酬は?」
「週末の喫茶店、タダ飯。」
「乗った。」
「よし、位置について、よーい…ドン!」

 一段目に足を掛けたのはイヴェールが先だった。そのまま一段飛ばしでどんどん階段を駆け上がる。運よく内側に回れた俺は、出だしの遅れを内側特有のショートカットでカバーした。どんなに面倒だの重労働だの言ったところで、大人の脚力をもってすれば三階なんてあっという間だ。

 だんっ、と一番上の段に足を乗せたのは俺が先。荒れた息のまま互いに目を合わせ、その瞬間にぶっと噴き出した。

「引き分けだろ、外側のハンデあったし。」
「そういうのの確認は勝負始める前にするもんだろ。ってことでイヴェールの奢り。」
「卑怯者。」
「言ってろ。」

 一足先に呼吸を整えた俺は、イヴェールにそう笑って脇に持っていた荷物を抱えなおした。イヴェールはやや呆れを含んだ、しかしどこか許容されているのだとわかる苦笑を浮かべ、同じように荷物を抱えなおしていた。そのまま二人でゆっくりと教室に向かう。廊下で最後の一分まで遊ぼうとしている生徒を見れば自然と笑みがこぼれた。

「あー、楽しみ。」
「昼飯食って直ぐに時間変更してやろうか。」
「やだね、もう聞かねーからな。」

 ふふん、と思わず漏れた鼻歌は、イヴェールがよく口ずさむもので。無意識の間にうつったのか、とか考えたら、途端に気恥ずかしくなった。

「……ポテトとから揚げ頼もうっと。」
「はあ?おやつ時に随分なメニューだな。」
「イヴェールどうせチョコサンデーだろ?だったらちょっとくらいしょっぱいの食いてえじゃん?」
「なに俺のサンデー食べる気なんだよ。絶対やらないからな。」

 まるで自分の可愛い教え子たちのような、好きなものは一人占めしたいという可愛い独占欲をこの大の大人に見出した俺は、その場でまたもや噴き出した。

「……なんかいらっとした。」
「や……うん、ごめんごめん、サンデーは横取りしない。一口くらいは欲しいけど。」
「いやだね、絶対一口もやらない。」
「いいだろ、ケチ。」
「ケチな俺が奢ってやるだけでもありがたいと思えバーカ。」

 機嫌悪そうに自分の教室へ入っていくのを見送って、俺は週末の予定に思いを馳せて、少し微笑む。

「……さ、今日もお勉強!」

 おはよう!という大きな声とともに、俺は教室のドアを開けた。

 そして、上から落ちてきた黒板消しとともに、怒涛の一日が今日も始まった。




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