小説 | ナノ
07/07
雨、降っちゃいましたね。
ふと、同居人の寂しげな呟きが聞こえ、テルミは怪訝に思い振り返った。 明かりを消した室内、窓から入る微かな光を受け、同じ寝具の上の同居人は切なげに空を見上げていた。 そういえば、昨夜から今夜の天気をしきりに気にしていたように思う。
「…何、今日、祭りか何かあったか?」 彼は一瞬考える仕草をしたのち、ふわりと微笑み、今日は星祭りの日だと答えた。 自分は祭り事に興味があるわけでは無いが、彼をそんなにも感傷的にさせるその星祭りとやらには少なからず興味を持つ。
「何それ。」短く返せば心無しか顔を輝かせた彼が空を見上げたまま話し始めた。 それによれば、今日は空に住む離れ離れの夫婦が年に一度だけ会える日らしい。 年に、一度、
昔の人間はよくもそう残酷な話を作ったものだ。
「けど、今年は会えませんね。」 意味が分からず隣の横顔を見つめる。
「催涙雨が降っていますから。」「………?」 「水かさが増すと、織姫は川を渡れないんです。」
呑み込まれてしまいますから。そう言う彼の瞳が今にも泣き出しそうに見えて。柄にも無いとは分かってはいたが、片手でカーテンを閉め彼のむき出しの肩を抱き寄せた。
改めてその胸に抱いてみれば、先日より随分と体温を感じなくなったように思う。
キササギによって橋は掛けられた。しかし、今の彼に橋を渡る時間は残されていないのだ。
あなたに呑み込まれるなら構わない。
そう言って自分の胸元にすがりつく彼の零した催涙雨がシーツを濡らした。
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1日遅れの七夕テルハザ。文章とか、マジで分かんねえ(^p^) 一応、ハザマ人格消滅ネタを形にしてみたつもり。
織り姫と彦星のお話を踏まえて書きました。お暇でしたら調べてみるのも楽しいかと!^ω^
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