※5年後設定



イヤホンを片方、坊の耳に指して 左手は坊の右手の上、タタンタタンと電車に揺られながら終点を目指す。私鉄の午後2時半電、乗客は俺と坊だけ。

タタン タタン と心地いいリズムで揺れる電車、終点はどこですかって聞けば「知らん」って返ってきた。本州の端っこの田舎、辺り一面黄金色。

「わあ、金色の絨毯みたいですねえ」

ねえ、と顔を向ければ 難しそうな顔してせやな、と頷いた。何か考え事してるときの癖、何考えてるんやろう。俺のこと? 明陀のこと? 2人の未来のこと? かすかすの頭を揺らしてみたけど分かるようで分からない、ずっと一緒にいたのに。

「…………何もないな」
「えっ?」
「この辺」

窓の外を見ながら坊が呟く、ああ 本当だ。さっきから全然、景色が変わらない。一面金色のまま、風に揺れている。

「俺らみたいやんな」

坊がはにかむように笑った、俺も笑顔で返す。

「そうですね」



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