ねえ、と声が聞こえた気がしました。 ああ、寒い。 「ぴか―…?」 ごめんなさいピカチュウ、君はなにも気にしなくていいよ。 だからどうか、どうか君は助かってそして伝えてほしいの。 私がこれほどまで求めて求めて求めて、探し続けた彼に。 ぼんやり、影が見えた。 白い。 ふわりと浮き上がる感覚がして、やがておさまった。 「…名前…」 幻聴。 なのに全身が歓喜に震えて、冷え切った身体が熱を持った。 「N、様」 「うん、ボクはN」 嗚呼、何故お顔を隠してしまわれるの。見せてください。もう一度だけ見たかったの。 「Nさま、どうして」 「………ゴメンね」 「ねぇ、私を見て」 「……………」 何故泣いていらっしゃるの? 翠色のひとみが宝石のようにきらきらひかって、ぽたりと雫を落とした。 「…きれい、」 私如きが触っていいのでしょうか。でももう触ってしまった。 「ねぇ名前、どうして」 それは私が聞きたいのだけど。 「助けにきたの」 「 、は」 「あなたが助けてくれたから、わたしも助けにきたの」 力不足でごめんなさいね。 「…遅いよ…」 ごめんなさい。 でもそれはお互い様、ということで。 「助けたかった、でもごめんね」 みにくいアヒルはいいました ああ、私もあなたみたいになれたならって、思ったのに。ね。 |