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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ 愛に決まってるでしょ


「人間と言うのは全身を干乾びさせた後に両手両足を切り落として口に猿轡を噛まして暗所に閉じ込めていると何日くらい生きていられるものだ?」
「人によると思いますけど、おれだったら完全に30分もしない内に死にます」
「お前ではなくナマエだったならばどうだ」
「ナマエでもほぼ同じだと思いますよ船長」
「そうか……思っているより脆いのだな…」




ならばやはり手足は切り落とさずに拘束するだけに留めておくか……ブツブツとまだ怖ろしいことを言っているホーキンス船長にクルーは小さく手を振って見送った。ホーキンス船長は、いつもああだ。当事者はいたって真面目にある男に恋をしている。そのある男と言うのがまた鈍感野郎で、自分の与り知らぬ場所でこんな怖ろしい会話が交わされていることなど露知らずに、今も甲板で今日の餌となる魚を釣っていた



「あーしかし全く釣れねぇ……このままじゃ今日のホーキンス船長の晩飯が…」



「…………」


ホーキンスがじぃっと、無防備なナマエのその背中を穴が開くほど見つめていてもナマエはその視線の強さに気付かない



暫く自室をウロウロと徘徊していたホーキンスは、また思い立ったように甲板に姿を現し、先ほどホーキンスから相談を受けていたクルーを捕まえる



「ならば、ナマエの腹部を刀で突き刺しても問題はないか」
「あ、あるんじゃないでしょうか。奴も人の子ですから血が止まらないかと」
「血を流しきればアイツは死ぬか?」
「間違いなく」
「……ならばどうやってナマエに愛を伝えればいいのか、もうおれには分からない」
「船長、本当に愛してる奴は殺して藁人形にして傍に置いておくもんじゃないと思います」
「なに?そうなのか」
「そう言う場合は黙って後ろから抱きついたりすると効果的じゃないですかね」
「たったそれだけで良いのか」
「シンプルイズベストです船長」
「なるほど。分かった」



クルーの言葉に頷いたホーキンスは、無表情を貼り付けて甲板へとダッシュする
途中擦れ違ったクルー達はその余りの勢いにどんどん道を譲って行く
呑気に「やっぱ釣れねぇやなどうも」と呟いて何も食いつかない竿を船縁に腰掛けて上げ下げしていた目的の人物を見つけると、ホーキンスはそのまま言われたことを完璧に実行した



「ナマエ」
「ぬおわっ!?落ちる落ちる!危ない!誰だ一体、って船長!」
「どうだ伝わったか」
「何を!?ってかあ、危ないですって船長!やばいです!もうオレの手も限界です!落ちます!」
「ふぅむ……伝わらず、か。やはりこんなシンプルなことではどうにも」
「落ちるぅううあああああああ」

「船長とナマエが海に落ちたぞ!!」
「早く引っ張り上げろ!」




ただそこを通っていたからと言う理由だけでホーキンスから散々相談を受けていたクルーは、慌てているクルー達の輪から一歩離れて、渇いた笑みを漏らすしかなかった
「……死ぬなよ、ナマエ」大切な仲間が船長の愛によって殺されやしないか、そればかり心配している






▼鈍感な男主と実は主人公大好きなホーキンス/梟さん
リクエストありがとうございました!


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