▼ 隣人へのはつこい
(気付いた時には好きだった。この言葉が一番しっくり来る)
(何がって、ローがナマエを好きになったタイミングの話)
(小さい頃から両親よりもローの一番身近にいた大人。それがナマエだった)
(昔から『新米教師』であったナマエの家で放課後に小学校の宿題を済ませるのが日課で、ナマエが仕事から帰って来たら採点と見直しを頼んだ。夜まで居座れば夕飯を出してくれるし、うちの親が帰って来ない日は一緒に風呂にだって入って、上がればTVゲームに付き合わ"された"(重要))
(思えば、両親に甘えた記憶よりもナマエに甘やかしてもらっていた記憶の方が勝ってる
当時の両親に問題が無かったと言えば無かったのけれど、「親」と言うあまり自分を省みない存在よりも「ナマエ」と言う優しい隣人の男にローの天秤が傾いた。ただそれだけのこと)
今朝に送った「焼肉屋に連れていけ」と言うメールを無視する気満々だったナマエのことなんて手に取るように分かった
放課後、職員が帰宅する時間まで昇降口で張り込んでいたんだ残念だったな
「ロー君、オレ給料日前なんだけど」
「とか言って今度ボーナス入ることぐらいお見通しだ。牛タン追加」
「おまえ…なぜオレの給与事情まで熟知してる…? あ、おねーさんビール追加」
「おれも」
「お前は駄目に決まっとろうが」
「じゃあウーロン」
運ばれてきたビールを流し込むナマエの喉仏凝視してたら怪訝そうな目で見られた。なんでもない
「あ゛ー……頭フワフワしてきた」
「呑みすぎだ。血管切れたって知らねーぞ」
「将来のお医者様に忠告されちゃあ仕方ねーなー……」
「茶化すな。お冷も少しは飲め」
「はいはい」
「あ、そっちはおれの…」
ウーロン茶… まあナマエの金で注文した奴だからとやかくは言えないけど、
クラスの女子かおれは
ナマエがおれの使ってたグラスに口つけたからって何でこんな恥ずかしくならないといけないんだよ本当に何年経ったってこうだ自分で自分が情けなくなるうるさいほっとけ
「ロー?なんでいきなりゲンドウポーズだ」
「うるさい。熱を冷ましてるだけだ」
「鉄板の熱に当たったのか?どれ」
「お、おい…!」
ピタリ
さっきまで氷水の入ったジョッキを持っていたナマエの冷たい手が額に乗せられる
ヒヤリとした冷たさに身体がブルっと震えた
しかしナマエのこの手をはなさないと、余計に熱くなってしまうのは明白だった
「な、なんでもないから離せ!」
「そうか?じゃあまあアイスでも食え。オレ抹茶」
とぼけた顔してメニュー渡してくんなこのナマエが。 おれバニラ
▼短編@隣人のおとこ 続編/リナさん
▼短編@隣人のおとこ 続編 ローが主に片思い話/茶々尾さん
リクエストありがとうございました!
(この後ナマエの家で2人飲み会することにして
酔い潰れたローがナマエに抱きついてそのまま寝落ちる)
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