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▼ 約束人、愛ず

喜ぶナマエと違い、
エースを初めとした白ひげ海賊団一味はオヤジを抜かして皆して大騒ぎだった


「なんだなんだどうしてこうなった!!」
「何で海王類が"なかまに なりたそうなめで こっちをみている!"状態なんだ!」
「お、おれだってまだよく理解してねぇんだよ!!」


「お、オヤジ!この海王類どうすんだよい!」
「ん?面白いじゃねぇか。 本人が頼んでんだろう?なら連れて行ってやれ」
「はああああ!?」
「しかし、そのカラダじゃあ悪目立ちしすぎだな」
「そ、そうだ!こんなデカイ海王類連れて航海なんか出来るか!」



『ああ、その点ならば問題ではない』




ナマエは大きく船の方へ身体を寄せ上げた。「船が潰されるー!!」と叫ぶクルー達の言葉を無視して、ナマエはその巨大な身体を船の上へと翳す。クルー達が目を瞑って衝撃に耐えようとした時、ナマエの身体が変化を遂げた



「………えっ!?」

「この姿ならば問題はないだろうか」


「か、海王類が人間になったー!!!」




船上は騒然とした。巨大な海竜の姿をしていた者が、人間の形をしているのだ
人間の形と言ってもちゃんとした形ではなく、眦は細く、手も足も鋭利に尖り、背丈のバランスも取れていない、不恰好な姿だったが


驚愕に言葉も出ないクルー達に説明するように、
ナマエは慣れない人語を駆使して説明を試みる



「深海を漂っていた悪魔の実を食べただけだ。そう驚くことではあるまい」
「お、驚くだろフツウ!?」
「そうか。 そしてロジャーの子エースよ、亡きロジャーとの約束のために、お前を護ることに関して異論はないな?」
「あ、ありまくりだ!状況理解し終えるまでちょっと待ってくれ!」
「いいだろう。ナマエはいつまでも待つ」


エースが咄嗟に吐いた制止の言葉に、ナマエは従順に従った
黙り込み、じっとエースを見つめている。その視線の強さに戸惑ったエースは、助けを求めるように白ひげと隊長たちに視線を送った



「ど、どうしようオヤジ…」
「大きさの問題なら解消したじゃねぇか」
「…そ、そうだけどよ!」

「それになんだ、ロジャーとの約束だって言うじゃねぇか。本当か?」
「ああ、無理矢理に押し付けられた約束だが」
「海王類と約束か、アイツのしそうなことだ。 名前はあるのか?」
「ある。ロジャーがつけてくれた。ナマエだ」
「ナマエ……」



名を小さく反芻したエースの方を見る


永く想像していたよりも、エースはロジャーに似ていた
しかし今は、怒涛に押し寄せた厄介ごとに追われているせいで、その表情は暗い



「……すまないなエース」
「―!」
「お前からしたら迷惑なことかもしれないが、どうかロジャーの気持ちも分かってやってほしい。ロジャーは、エースが生まれる前からエースのことを案じていた」
「…っ、………アンタ、ずっとおれの事、待ってたんだろ?」
「ああ。ずっと」
「義理堅いんだな」
「…そうでもない」
「え?」



低い位置にあるエースの頭を 慣れない人間の腕を上げ、撫でる仕草をとった
触れられたエースは、驚きに目を見開く



「20年待ったが、ロジャーとの約束は 今からが始まりだ」


そのナマエの顔が、あんまりにも嬉しそうに見えたから、


「……そっ、か まあ、この事でナマエを責める理由はない、よな。しちまった約束は、守りたいよな」
「ナマエもそう思う」
「――へへっ、海王類のボディーガードか!格好いいな!今度ルフィに教えてやりたいぜ!」
「るふぃ?」
「おれの弟だ!」
「………なんだと…ロジャーにはもう1人子どもがいたのか……その場合を想定していなかった……」
「あ、でも血は繋がってねぇから!」
「なんだ」




海王類――その予想外の人間臭さに、白ひげクルー達は暫く戸惑い続けた







▼エース相手で人外男主が悪魔の実を食べて人になった/アリスさん
リクエストありがとうございました!


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