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▼ 捜し人、見つけ

「オヤジぃー!!なんか海王類が海面からジッとこっち見てきてるー!」
「こんな所に海王類が?妙だな……何頭だ?」
「一頭!どうも海竜族っぽいんだが…」
「一頭だって?」



クジラの船首か。船の規模はそこそこのようだが、この船にロジャーの子は乗っているだろうか。しかしあまり顔を出していては、またいつかのように砲撃されてしまいかねない



船縁に姿を現した大柄の男 口元を覆い隠すほどの白い髭が、少しロジャーを思い起こさせた。その隣には、精悍な顔つきの男たちが数名。どれも骨のありそうな人間たちばかりのように思う



なんとなく、この海賊たちならば、話を分かってくれるような気がした





『おい お前たちの船に、ロジャーと縁ある者はいるか』



なるべく威圧せぬように、
慎重に声を発したつもりだった



しかし、男達からの反応は薄い



「……?何か伝えたがってるようだな……」
「何て言ってんだ…?マルコお前わかんねぇのかよ」
「海王類の言葉なんざ理解出来るかよい」
「ただ吠えてるだけじゃないのか?」
「大人しくしてる内に早いとこ船を走らせるか迎撃しないと!」



駄目か、と思った また今回も、とも

この者達の中にならばもしや、と思ったナマエが愚かだったか
攻撃されぬように、また深海に潜ろうと身体が動く


しかし








「…おれ、一応ユカリあるけど、なんでそんなことを海王類が訊くんだ?」












『―――!?』




「は!?エース何言ってんだ」
「お前、海王類が何て言ってるかわかんのか!?」
「え?お前らはわかんねぇのか?」
「わっかるか!!!」



ロジャー以来。我々の言葉が分かる者は

"エース"と呼ばれた青年の言葉に虚言は見られない
男達の集まる船縁に、「危害を加えるつもりはない」と示すためにゆっくり、ゆっくりと近付いた
柄にもなく身体が震える ようやくだ 漸く待ち人が現れたか、と心臓が踊った




『………お前が、ロジャーの子どもか?』

「……何でも知ってるのか?海王類って ……あんま言いたくねーけど、そうだけど…?なんだ?」



あいつの友人か? 問われた言葉に、差異を感じながらも頷いた。エースと言う男は「マジかよ…」と目を見開いた。此方もそう言いたい気分である。"本当か"、本当に、おまえがロジャーの子か




『………20年、お前を捜していた』

「…え?おれを?」

『ああ。ロジャーとの約束なのだ。 あの者の代わりに、この海でお前を護るようにというな』

「え、えぇええ!?」




なんだよエース!いまお前と海王類の間で何の会話が交わされてんだよ!!


他のクルー達が騒ぎ立ていようとも、もうわたしの目にはお前しか映らないよロジャーの子



やっと、あの男との約束を果たせる日が来そうだ




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