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▼ セピアの懸想



涙と鼻水を流しながら泣き続けるドレークの頭に、
悪がき共から奪い返しに行っていたドレークの海兵帽子を被せた。
そんなナマエの顔や身体には、いたるところに絆創膏が貼ってある



「ほら、ちゃんと取り返してきてやったぞ」
「う…っ、うぅう、ナマエ…ナマエ…!」
「わ、わ、わ、泣くなよ、ドレーク」
「だ、だってぇ…」



父親から譲ってもらったお古の帽子を幼馴染のコイツがとても大切にしていることを知っているのは、何もナマエだけではない。ドレークのことを嫌う悪がき達も知っていた。少し脅かしてやろうと考え、この帽子を奪って泣かすと言うことも思いついたんだろう。
同年代の子どもに比べて少し背の低いドレークに喧嘩はまだ無理だったから、子どもレベルだが腕っ節に自信をつけているナマエが取り返しに行った。多勢に無勢だろうと関係ない。幼馴染を泣かす奴はゆるさない。幼馴染の宝物を取るなんざ言語道断、だ



だから折角取り返してきたと言うのに。
幼馴染は感謝の言葉も言ってくれないで泣いてばかりいる。それが少しショックだった



「ちょっと泥がついてるけど、こんなの叩けば取れるって、だから泣くな」
「そ、そんなことで、泣いてるんじゃない!」
「じゃあ、なんなんだよ」


ドレークは嗚咽を漏らす


「ナマエ、ケガしてる。痛そう、おれのせいだ、ごめんね、ごめんね、おれが、弱いから、おれのせいでナマエが、ごめん」


ごめんごめん、としゃっくり混じりに謝罪を繰り返すドレークの姿にナマエはイラついた


「…っ、ああもう!   ディエス・ドレーク海軍養成部隊兵!!」
「! は、はい!!」



反射的にドレークは敬礼をする。しかし自分を呼んだ対象がナマエだったと気付くと、「…?」と困惑の表情を浮かべた。
ドレークを呼んだ当人は、腕を組んで厳しい目をしている。"とても怒ってます"と言った空気をドレークはヒシヒシと感じた



「おまえも海兵目指してるんだろ!なら、こんなちっちゃな事でいちいちメソメソ泣くな!」
「だ、だって…おれのせいで…」
「そうだ"お前のせい"だ!でもこれはオレが"お前の為を思って"勝手にやったことだ!
軍は規律がだいじ。個人のかってな行動は許されないのに、それをしたのはオレの方だ。だからオレが悪い。ドレークが謝ることないんだ」
「うううぅ………」
「わかったな?」
「うん……ごめ、」
「今度あやまったら、ドレークのこと嫌いになる」
「!? わ、分かった、もう謝らない!謝らないから!」
「よし」




じゃあご飯食べよう。オレお腹減った。
ドレークの左手をとって歩き出すナマエの背中について行く。また自分の頭に戻ってきた帽子を撫でて、ドレークはぼんやりと前方のナマエを見た



すごいなあナマエは、
おれと同い年なのに、
背もちょっと高くて
力もあって、
とっても、かっこいい




「………ナマエ、」
「んー?」

「おれ、もっとがんばるよ」
「うん」

「いっぱい頑張って、もっと強くなる」
「うんうん」

「今度はおれがナマエのちからになる」
「……ドレークは、もうオレのちからになってるぞ」
「え?本当?」
「うん、オレ、ドレークがいなかったら海兵の訓練にくじけてたと思う」
「…そっかあ」



そっかそっか、なら嬉しいな























「やばいやばいやばいってドレーク内臓出る出るでるギブギブギブギブギブ」
「………ならば、金輪際しないと誓うか」
「誓う!誓う!これからはちゃんと買う蔵書の数に制限かける!!」
「今度またこんな事があれば、頭からいく」
「お、おう」
「よし」



ナマエが大量に購入してきた蔵書のせいで、ナマエの船室の床が抜けた
以前から購入する量を注意していたドレークの言葉に耳を貸さなかった故の失態により、
普段はナマエに優しいドレークも相当ご立腹のようだ
恐竜の姿でナマエの身体を締め付け脅す船長の姿に、とばっちりを受けないようにしようと避難気味だ





「げほっ……ちょっとは手加減してくれよ…」
「それでは罰にならない」



当然だ。とでも言いたげだなドレーク



「……おまえ、昔からほんと謝ることしないよな……」
「……………お前が嫌うだろう」
「は?なんだって?」
「なんでもない」
「?」





▼短編@返事のない愛に 設定でほのぼの/うし丸さん
リクエストありがとうございました!


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