4万企画小説 | ナノ
×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


▼ 君が目指す青い青い世界の方に向けて

――兄弟はなるべく違う人生の道を歩んだ方がいい。
――その方が、その先の未来で衝突しなくて済む



捨て子だったナマエとキラーを拾った婆さんはそう言った。偏屈で理屈屋な婆さんの言うことは8割方正しかったので、幼い2人はその言葉を素直に受け入れた。
なるべく違う道に、2人がいずれ衝突しないように、仲違いを起こさない為に








兄のナマエは10歳。弟のキラーは5歳
将来のことを考えるには少し早すぎるけど、想定しておいて損はない
婆さんが別室で寝静まった頃を見計らったナマエは、隣の布団に潜っていたキラーと顔を突き合わせて将来のアレコレを話し合った。どうしようか、どうするか




「にいさん」
「キラー、お前、なにになりたいか決めたか?」
「うん  おれは、海賊になるよ」
「…その心は?」
「かねをたくさん、手に入れられる」
「…そっか。危ないって聞くから、気をつけるんだぞ」
「うん にいさんは?」
「オレは………」



賞金かせぎに、なろうって考えてた。
でも弟は海賊になりたいらしいから、
ここは兄として余裕のあるところを見せるべきか



「……賞金稼ぎ」
「…え…」
「山賊、専門の」
「! そっか、よかった!」
「よかっただろ? これなら、お前と衝突はしない」
「うん、しない!」



キラーの目に掛かった前髪を梳いてやれば、同じ色をした瞳と視線がかち合う。
ニヘッと笑ったキラーの笑顔にナマエも同じく笑みを返した



「にいさんは強いから、きっとなれるよ」
「キラーこそ強いよ。立派な海賊になれる」
「うん でも、まだまだ先のことだよね?」
「そうだな。まだ先だ」

「それまで、ずっと一緒にいてねにいさん」
「もちろん」
「…おやすみなさい」
「おやすみ、キラー」



その夜は、キラーはずっとナマエの手を掴んで放さなかった。ナマエの肩が痺れたのは、朝になってからのことだ




prev / next