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▼ かりそめ家族

「可愛い男の子からお代は貰わない主義にしてるの」男なら誰もが一度は見惚れてしまうシャクヤクの妖艶な笑みにも、ナマエは「マジですかーらっきー」と呑気に答えて酒瓶を次々に開けている。その本数が10を越えても尚「どんどん飲んで〜」とニコニコ笑いながらナマエを見ているシャクヤクに、カウンターに座っていたレイリーは溜息を吐いた



「おいおい、そんなにナマエを甘やかして良いのかシャクヤク」
「あら、レイさんには言われたくないわよ。たくさんおつまみ買ってきてあげてるじゃないの」
「…まあそれもそうなんだがな」

「おつまみも美味しいですレイさん」
「そうかそうか」









ナマエと言う男はレイリーが少し前にGR−5で見つけて来たホームレスだ。
宿にしていた女に棄てられ、彷徨っていたところを人攫い屋にかどわかされそうになり、そこを偶然居合わせたレイリーが助けたのが始まりだった。

貧相な身なりをしているのに、やけに生気の強い目をした男で、そんなナマエをレイリーが連れて帰って来た理由は、単純にシャクヤクの好みの顔をしていたから。
普段から何かと世話になっている世話女房の為に潤いを与えてやる意味でだったのだが、今ではすっかり2人の愛玩物となっている。元来愛され度が高い人間なのかもしれない


当初は急に連れてこられ戸惑っていたナマエも、普段が根無し草なので人の厄介になることに何の遠慮もしない性格だ。すぐに2人と打ち解けた。飽きて棄てられない限りは、この店でこの夫婦に可愛がってもらえる。自分のどこをそんな気に入ってもらえたのかは分からない。老人の考える事はまだ20半ばのナマエには理解も出来ない。それに加えても、レイリーとシャクヤクの2人は腹の中で何を考えてるのか読めない人物だ。それでもナマエは、じょじょに2人を好きになっていた。自分に優しく接してくれる人間は大好きなのだ




「どうだナマエ、お前もコーティングの技術を学んでみないか?」
「?どうしてですか?」
「コーティングの技を学べば、それを職にして活かすことが出来るだろう」
「はあ」
「そして、行く行くはこの家に住んで我々の息子になればいい」
「息子、ですか。 ……それもアリかもしれませんね」
「そうだろ?」



普通ならばそう易々と他人の男に「息子にならないか」と持ち掛けないだろうが、レイリーとシャクヤクは、少しの道楽なら気にしない。2人の間に子どもはいないし、コミュニケーションを取れる相手が欲しいと思っていたのだ。
提示された条件はナマエにとって願ったり叶ったり。両親は昔に亡くし、友もいなけりゃ兄弟もいない。ド天然な性格のせいで他人の神経を逆撫ですることもしばしばで人付き合いも満足に上手く出来ない男なナマエを、自ら息子にしたいと申し出てくれるなんて



「ちょっとレイさん ナマエちゃんは私の店でイケメンウェイターになるんだから邪魔しないでよ」
「ウェイター?そんなチャラチャラした事をナマエにやらせるのかい」
「あら、ナマエちゃんならきっとモテモテになるわ」
「女の子にモテモテ…人生で体験したことない経験です」
「見る目ない子とばかり付き合ってきたのねぇ」



ナマエに追加の酒瓶を渡しながら、シャクヤクは呆れたように溜息を吐いた。
そんなシャクヤクを見ながら、でも、とナマエは言う



「でもオレ、女の子にモテモテになるよりかは、レイさんのお役に立ちたいなって思います」
「あらら」
「おお本当かナマエ」
「オレを拾ってくれたのはレイさんですしねーオレ、レイさん大好きですもん」
「おお、おぉ、嬉しいな」
「勿論シャクヤクさんも大好きです」
「ありがとナマエちゃん」



人が何を言われたら一番喜ぶのか、ナマエは人心掌握術にも長けていた。
「オレ、お2人の息子になりたいです!」と見せたことない笑顔で笑って答えれば、2人は嬉しそうな声を上げた。






▼レイリーがベタ惚れしてるちょっと天然な年下男主/潤さん
リクエストありがとうございました!



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