▼ だれか たすけてくれないか
「始まったようだな」
「…!」
レイリーからの言葉に、ナマエは俯いていた頭を上げた。遠く歓声が聞こえる。さっきの支配人が高らかに宣言する声もだ。どうやらオークションが始まったらしい。ここまでか、とナマエはまた項垂れた。どんな奴隷人生が待っているんだろう。40手前にして人生何が起きるのか分からないとはよく言う。果たして、ただのサラリーマンだった自分に、奴隷なんて生活をこなせるだろうか
『エントリーNo.1!』
あの頭に包帯を巻いた、目つきの悪い男だ
最後まで抵抗していたせいで顔中に隠せない傷が出来たのを準備していた男達が嘆いていた
見かけだけのデカさじゃなく、
本当に力を持っていそうな男でさえ抵抗しても逃れられない。
ハナっから諦めたくもなってくる
「ナマエ、君は14番だったな」
「…………」
心はもう既に空虚だ
誰も味方のいないこの世界で奴隷として売られるのだ
いつか生き延びて年を取れたなら、笑い種になる日も来るのかな
「…………」
……嫌だなあ だれか、たすけてくれないか、
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