今日のトリトさんは、いつもより遅起きだ
眠そうに目を擦りながら、 なぜか キャプテンの船室から出てきたところへ「おはようございまーす!」と声をかける。「おはようシャチ君…」と返ってきた声もやっぱり眠たそう
「昨日は大部屋に帰らなかったみたいですね! キャプテンと酒盛りでもしてたんすか?」
「……いや、なに……」
……あれ?
いやなに、って言うトリトさん、おれ知ってるぞ。 確か前は、キャプテンの長年の片思いが実った夜に聞いたんだったよな。うん、覚えてるおれ。宿に帰ってきたトリトさん達に最初に声をかけて気付いたのおれだもん。 じゃあ、何で今もいやなにって言うんだ? あれ? キャプテンの船室から出てくるトリトさん 別にこれ自体は珍しくない 添い寝を求めてキャプテンがトリトさんを部屋に呼ぶことは、今までもちょくちょくあったから でも、ただの添い寝だけなら、トリトさんはいやなにって言葉を濁したりしないんだ じゃあ何だ?濁さなきゃいけない、ナニカをしてたからだよな? あれ、待って、つまりそれってさ、
「……!!?」
「?シャチく……」
「コックウウウウウ!!!!今日は赤飯にしてえええええ!!!」「え!?お、おいシャチ君!」
ローが起きてしまうから静かに。
疲れてるからあ、はいすみません……
ってええ!?キャプテン疲れてる!?・
・
・言いふらすべきことでもないのに。あれだけ騒いでしまったシャチのせいで、殆どのクルーが事情を察知してしまったじゃないか。今シャチは起きてきたキャプテンにバラバラの刑&宙吊りの刑を受けている真っ最中でココに姿はない。アイツは本当にデリカシーがないから仕方ない。少しはベポを見習うべきだ。「なになに?キャプテンとトリトさんなにがあったの?」ってお花畑全開だぞ
「トリトさん、災難でしたね。お茶でもどうぞ」
「ありがとうペンギン君 俺は別にね…災難と言うならローの方じゃないか」
「………どちらも心中お察しします。シャチがバカ野郎で本当にすいません」
「はは、イイよ シャチ君も、事実しか言っていないしな」
トリトさん、寛容にも程があるよな。
人様の夜事情に首突っ込んだあんなバカ野郎のことは放置可能なのに。
キャプテンの片思いが報われた時よりか今回は他の奴らもお祝いムードをおっぴろげにしてはいない。まあ、事情が事情だけに自粛するのが正しい選択だろう
でもやっぱり、船のクルーの中には昔から根強く応援していた奴もいて、そいつらがキャプテンに「体は大丈夫っすか!?」とか「トリトさん優しくしてくれました?」「当たり前だろあのトリトさんだぞ!」なんて言い募ってはキャプテン自らの手によって片っ端から沈められている。バカだろ
「……でもまあ、いつまでも話題がソレばかりだとどう言う顔をしていいか分からない」
「任せてください。おれが止めてきます」
「頑張ってくれペンギン君」
「はい」
トリトさんに頼まれた。……がんばろう
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