恋情増幅 | ナノ
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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「……おや?」
「どうしたトリト」


広げて見ていた新聞の一面に、何時ぞやで見た顔があった。枠一杯の満面の笑みと麦わら帽子の少年の姿。書かれている見出しには"王下七武海 クロコダイル拿捕ーー"の文字


「ロー、コレは何と読むんだ?」
「どれ?」
「おう…げ…?」
「あぁ、"おうかしちぶかい"だ」
「王下七武海…」


麦わらの少年の手配書に記されている金額が、以前見た時よりも大幅に上がっていた。なるほど、海賊の懸賞金と言うものは、こうした事をやって上がって行くものなのか、とトリトは新聞を片手に頷いた。そこでふと疑問が降って湧く


「ローは今、懸賞金幾らなんだ?」
「…一億と数千万だな」
「そうか、ローも着実に上がっているんだな」
「当然だ」



得意気に笑うローに笑みを返し、食事の場にいるのに治していない寝癖のかかった頭を一撫でして手にしていた新聞を次の読みたいクルーに手渡した。


以前、船を変える時は食堂を広くしてほしい!と言うシャチ君の願いが叶い、
前にも増して広くなった食堂は、朝食を摂る大勢のクルー達で溢れ返っている。
隣でまだ食事を続けているローに断って席を立ち、目当ての人物のいるテーブルへと歩み寄った



「バンダナ君」
「あ、トリトさん。ちょっと待っててください、もう食べ終わるんで!」
「ゆっくりで大丈夫だ。喉に詰まらせないようにな」
「モゴお待たせです。行きましょっか」
「ああ」


トレーを持って立ち上がったバンダナ君の後に続く

今日はこれから、バンダナ君と他の狙撃手の皆に手解きを受けることになっていた









中高とライフル射撃部だった時は、静止標的と言う人型の黒い的に向けてどれだけ中心に向けて撃てるかを部員達と競い合っていた。
4mm程度の鉛弾を使っていたが、今、バンダナ君が手に持って見せてくれているのはそれよりももっと重量のある実弾




「トリトさん、マスケット銃を見るのは?」
「実物を見るのは初めてだ」
「そうですか、んじゃコレ持ってみてください」



バンダナが手渡してくれたマスケット銃はそれなりに重みがあった。茶色の砲身に金色の装飾が成されていて、他の海賊たちから奪ったモノだと言っていたがなるほど、確かに使用感は見られない。



「おれはピストルを使うんですよね」とバンダナ君
「私はラッパ銃を好んでいる」とジェントルさん
「で、おれが大砲班なんでー…」とモーブ君


なるほど、マスケットを使う者は現在居らず、と言うことか。



「ピストルやラッパに比べて銃身が長いでしょ?」
「そうだな。火縄銃みたいだ」
「ひなわ?」
「オレの世界で昔使われてた銃のことだよ」
「へぇ!そんなのあるんすか!」

「で、銃身が他より長い分射程距離も上がってより正確に撃ち込むことが出来ましてね」
「はい」
「まあしかし難点もありまして。この銃の形は連射が出来ないんです」
「…なるほど」
「なので、トリト殿には大砲班と一緒に船を動かず狙撃してもらう、ってのが一番の安全策でしょうな」



バンダナ君とジェントルさんが交代で説明してくれた内容は大方理解出来た

ライフル射撃で大会に出場できた事もある腕前は、活かせるのか活かせずに終わるのか
それは全て今からに掛かっているようだ






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