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「#幼馴染」のBL小説を読む
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「いっづ!」
「トリトさぁん!」
「し、心配ご無用」


自分がペンギン君に投げ飛ばされて受け身を取る度に掛かる心配の声には笑ってしまう。怪我をした際の治療道具の潤いっぷりにも。気遣わしげなペンギン君の帽子の奥の視線に、手を振ることで大丈夫だと告げて続きを申し込む


「こんな訓練ばかりで良いんですか?トリトさん」
「これが1番大事かと思ったんだ」


船の中で力持ちの人間に位置するペンギン君にひたすら掴まれて投げ飛ばされて地面にぶつかる前に受け身を取る訓練。ただそれだけを延々と繰り返す
身体の衰えにまず勝たなければいけないと考えて、ハートのクルー達に訓練の相手を募ったが、いやいやみんなお強い。どこにそんな力があるのかと疑いたくなるような子までいる。この中で燻ってしまわないよう、自分も付けられる力は今のウチに付けておかなければと考えた



そろそろ休憩しませんか、と言うペンギン君からの申し出に頷いて、ふぅと地面に腰を下ろす



「トリトさん、使ってみたい武器とかないんですか?」
「武器…か……いや、」
「ナイフとかどうです?」
「包丁ぐらいしか持ったことが…」


クルクルと手の中で回して見せたペンギン君に舌を巻く
渋い顔をしてしまった自分に、今度はバンダナ君の声が飛んだ



「じゃあ銃火器とかはどうですかトリトさん」
「銃?」
「おれ、トリトさんって目がイイと思うんですよね」



キャプテンから聞きましたよ。この間の海賊達が襲撃して来た時に、トリトさん、暗い桟橋の上で海賊たちの攻撃を見事に避け切ってたんすよね!それって、スゲぇ目が利くってことじゃありませんか?


「…オレは老眼気味で」
「それは大丈夫っすよ。
それに実は、キャプテンからのお墨付きですし」
「ローが?何故?」
「それはキャプテンに聞いてもらえますか?銃なら確か、他の海賊達から奪い取ったマスケットみたいなのが倉庫にあったと思うし、ウチの狙撃班に指導してもらえばいいんじゃないですか!」


なるほど
確かに、銃ならライフル射撃部の経験を活かせそうなきはする。何十年も前の話なのが不安だけども



「……そう、だな。そう訓練付けてもらおうか」
「まっかせてください!因みにハートの狙撃兵とは、おれのことです!」
「そうかバンダナ君だったか」
「なーに自分が得意だからって、トリトさんにアプローチしてたんだよテメェー」
「うっせーなこう言うのは言ったもん勝ちなんだよバーカ」



若い子達はすぐに喧嘩になるな。
威勢のいいことだ




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