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「船長!!大変です!ハートの海賊団です!!」
「なにぃ!?」
「ハートの海賊団が、こっちに突っ込んできます!!」
「噂をすれば何とやらか……小童め!!」


「え、何だなんだ?何事だ?」


「テメェはあっち行ってろ!おいコイツ縛っておけ!」
「イエッサ!」
「えええ!?な、何でだ?つか何が起きてるんだ?」
「いいからココに入っとけ!」
「うおおっ!」



乱暴に体を縛られ、乱暴に船室に蹴り込まれた。強く頭を打ち付けたかと思うと、そこには宝箱が1つ。お、おお……生宝箱だ…初めて見た……

何かが来たと言っていたか。別の海賊船か?つまり今からこの船とその船は交戦を始めるってことか?何てことだ!!折角助けて貰って、近くの島に降ろしてもらえる筈だったのに!何て余計なことしてくれたんだその船は全く



丸い船窓から外の様子をこっそり窺う。
ロープを伸ばし、それを橋代わりにしたのか次々と白い服を着た海賊らしき奴らが乗り込んでくる



喧騒が大きくなり、武器を手にした男たちが切り合いを始めた



「…!!」



血だ。さっきまで話をしていたクルーの男が、切りつけられて血を流し甲板に倒れたではないか。何と言うことか、これは本当の戦いか。血も出るし、腕を切り落とされた奴の叫び声が聞こえてくる。


耳を塞いでしまいたいが、生憎オレの両腕は縛られたままだ
ならばと目を瞑ろうとした時、オレを助けてくれた船長と、
背が高く細い体つきの男が対峙しているのが見えた。

サーベルと銃を構えた船長に対して、その男は、長い刀のようなものを持っている。
陽光が眩しくてその男の事はよく見えない。
が、船長が先に動き、男が刀を振り上げたかと思うと、一瞬で船長の体がバラバラにされた



「!!」



なんだ、あの男は。今、船長さんに何をしたんだ。バラバラにしやがったぞ


船長が倒れたことにより、他のクルーたちの戦意は削がれてしまったらしい
武器を取り落とし、皆が一様に船長に駆け寄る。見ていられない、が、オレを助けてくれた船長の姿をこの目に焼き付けておきたかった
後ろ手に船室のドアを開け、未だ戦闘の跡が残る甲板を走る



「船長さん!!」


「!?」



突然現れたオレを警戒したらしい刀の男と、その仲間たちがオレに武器を構えてきたが無視だ。



「あ、テメ!出てくんなっつったろ!」
「だ、だが船長さんが…」

「…俺なら生きてるぞ」

「…!な、何で船長さん、体バラバラにされて生きてんだ!?」



オレのこの質問に答えたのは、男だった



「オレの能力だよ。詳しく話してやる義理はないがな。
――とりあえず、この船に積まれてる宝と食糧を渡して貰おうか」




クルーたちが息を呑む。船長さんも悔しそうに唇を噛み締めていた。
そんなオレも、この海賊たちが行う理不尽な強奪には歯噛みしてしまう。たとえこれが、海賊のルールだとしてもだ



「……お前な!」



両手の自由を奪われていることを忘れて、オレは男に向かってそう叫んだ






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