恋情増幅 | ナノ
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「昨晩海賊が襲って来やがってたんだって?大丈夫だったか?」
「ええ。でも、追っ払いましたから」
「そうかそうか、トリトんトコはつえぇみたいだな」
「凄い奴らばかりですよ。埋もれないよう、気をつけないといけませんや」
「そうかい」



トリトんとこの海賊団はつえーんだな!ガンズは重い木材を片手に快活に笑った

あれから数時間だけ仮眠を取り、本当にピッタリと密着して眠りに就いていたローの拘束を何とか抜け出してガンズの元にまた手伝いに来た。それと、昨日の返事をするために



「ガンズさん、昨日の誘いなんですけど…」
「ああ、考えてくれたか?」

「オレ、海賊やります」
「 そうか」



少しは食い下がるだろうか?と思っていたが、存外簡単に引き下がってくれた。
すごく有り難い申し出ではあったが、今の自分はローの傍にいると決めたのだ
船大工と言う仕事は確かに魅力的で、ただのサラリーマンだった頃よりかは今の仕事の方が楽しいとさえ感じる



「じゃあどうだ?船が完成されるまで、オレのとこにいて、船大工の技術を学ぶってーのは」
「?どう言うことで…」
「船大工も出来る海賊になればいいじゃねぇか!」



それはいいかもしれない
トリトが把握している限りでは、今のハートのクルーの中に船大工の経験を持つ者はいなかったと思う
ガンズがお世辞を言うような人でないことを考え、トリトには船大工としての才能があるらしい。それを伸ばして、ハート海賊団の大工になれ



「……いいんですか?」
「おう、トリトが良いんならな」
「よろしくお願いします」




「だからアンタも何か探せばいい。自分がこの船でやれること。そうすれば、アンタがこの船に乗ってられる理由になるだろ?」



ああ、そうだ 船の上で自分に出来ること、見つけられそうだ、ロー












「………あ、」
「あ…」
「よ、よう 起きてたのかロー」
「さっき、起きた おれをベッドに1人にして、何処行ってたんだよ」
「その事なんだがな」
「?」



宿のテーブルを借りて、ガンズから聞かされたことをそのままローに伝えると、ローは嬉しそうに口元を緩めた。とても穏やかな笑顔に見えるのは、それまでの自分とローの関係が違うようになったからか?とトリトは首を傾げる



「良かったじゃねぇか、色々」
「ローは、オレがハートの船大工になることについてどう思う?」
「嬉しいさ。ちゃんと学んで来いよ」
「そうか。分かった、頑張るよ」
「…!…トリトのその、人の頭を撫でるのはクセみたいなものか?」
「ん?……意識したことはないな。よくしていたか?」
「してる。…別に嫌じゃあないけど、どうもまだ"家族"として接せられてるような気分だな」



頬杖をついて溜息を吐くローの顔は深刻そうではないが、
言われてみると確かに、人の頭を撫でると言う行為には、そう言う家族的な部分も含まれているのかもしれない



「…確かに、まだ昨日の今日だから抜けてないのかもしれんな。
オレはまだお前のことを まだどっかで"子ども"とか"弟"として見てる部分があると思う。だから、まずはオレにローを"恋人"として認識させるところから始めてくれないか」
「…………えらそーに……」



ローの顔が真っ赤になる。トリトのその言葉は、ローにとっても大打撃だったようだ





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