どうやって宿にまで帰ったのか記憶がない。宿の入り口でシャチ君に「あ、お帰りなさいトリトさん」と迎えられて部屋まで連れてってもらったのは覚えている。
割り振られた自室の隣の部屋にはローがいる。ローのことを考えるとまた頭が破裂してしまいそうになったが、「出てくるな」と何とか押し込めてベッドにもぐりこんだ。トリトには悩み事や心配事を溜め込むと寝て一旦落ち着かす処世術がある。明日の事は明日考える。今日の自分は、事実を受け止めただけで大疲れしたから、明日の自分に期待しよう。どうか頑張ってくれたまえ
「……おやすみ、ロー」
ああ、そう言えば昔にも、こんなばめんがあったっけ
「襲撃だああああああああああ!!」
「!?」
もう少しで寝付けていたかいなかったかと言う時分に、
扉の外から聞こえてきた声に飛び起きる。襲撃!?
「トリトさん、起きてますか!」
「バンダナ君か!起きてた!」
「よかった! さっき見張りの奴から連絡があって、おれ達の船を海賊の奴らが襲ってるって!」
「え、どっちの船をだ?」
「潜水艦の方です!」
なんだとう!?
その船だけは殊更勘弁してくれ!
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