恋情増幅 | ナノ
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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船が到着した島には、沢山のドックがあった。そこで忙しなく動いている男達と女達
老若男女様々な人間達が、船を相手に仕事をしている。


上陸したハートのクルー達が、1人の老人に声を掛けた。見るからに「職人」らしく、年老いた風体を物ともしない隆々とした身体と腰からぶら提げた大工道具が目を引いた



「船を作って欲しいんだが」
「客か!らっしゃい どんなのにしたいんだ?」
「潜水艦なんだが…この島で作れるか?」
「当たり前じゃねぇか!」



何とも心強い言葉だ

老人はガンズと名乗った。この島でずっと、船大工をしていると言う






ローがガンズと話を付けて帰って来た。隣に連れ立っていたガンズは、ハートの船を見るなり「ボロボロだな」と一言

損壊した経緯は話さなかったが、「海賊って奴ァご苦労なこった」と呟いていた



「お前さん達、ちゃんと金はあるんだろうな?」
「ある」
「その辺の話はおれが聞きます。この船の財務を任されてる」



金番の奴がガンズと相談を始めている間、他の船員達は皆で持ち出せる船の荷を外に運び出している最中だった
首を動かして、他の奴らと一緒に大きな積荷を運んでいたトリトを見つけ呼びとめる



「トリト」
「 何だ?」


荷を置いたトリトがローに駆け寄る


「こんな船大工が沢山いる島、初めてだろ?」
「まあな。広いし、大きいんだな。ドックなんて初めて見たよ」



感心したように島のドックを見渡すトリトの目は爛々と輝いている



「トリトの見聞を広める意味でも、今夜にでも一度、島を見て回るといい」
「いいのか?」


「ああ  その代わり、また知らねぇところで問題を起こされちゃマズイから、おれも同伴する」
「そうか!ローが一緒にいてくれると心強いな」
「……とりあえず、今日はここに宿を取る。荷物を運び終えたら、宿を手配するようシャチに頼んでおいてくれ」
「分かった」





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