恋情増幅 | ナノ
×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -



「おっさすがキャプテンが見立てただけあってサイズピッタリですね」
「……何でローはオレの服のサイズが分かるんだ」
「あれじゃないですか?いっつもトリトさんに引っ付いて寝てるからじゃないですか?」
「そうなのか?オレって寝てる間にローに引っ付かれてるのか!?」
「あれ、ご存知なかったですか」
「全くご存知なかったんですが」



着ていたスーツは海軍基地の一件でボロボロになり着れなくなった。そこでローが用意したのが、ハートの海賊団のクルーが着ている白いツナギだった。以前から着せるつもりだったと告げられ着たはいいのだが、シャチ君の放った爆弾発言で正直ツナギの着心地・動きやすさに感心している場合でなくなった




「全く知らなかった……アイツ、オレより早起きだからな」
「早起きと言うか、眠りが浅いだけかもですよ」
「どうしてローはオレに抱きついて来てるのか分かるか?」
「え゛っ?」
「え」
「何だシャチ君ペンギン君その反応は」
「い、いやだって……どうしてなんて…」
「トリトさんは、嫌ってる人間に抱きついて夜を過ごしたいって思いますか」
「思いませんが」
「でしょう。つまりそう言うことです」
「ペンギン君、全く意味が分からないのだがねオジサンには」



真面目に疑問符を飛ばせば、シャチ君は「バカかお前!もうちょっと分かりやすい説明あるだろ!」とペンギン君の頭を殴った。あーこらこら止めなさい喧嘩なんて



「しかしなシャチ こんな事俺らの口から言ってもいいものか」
「そ、それもそうだな………」
「どう言う意味で」


「シャチ、ペンギン お前らトリトにツナギ着せるのにいつまで掛かってるんだ」


「ひいいいキャプテン!!」
「とっくに着せ終わってましたお待たせしてすみません!!」
「?なら良い」



ローがクルー用の船室に入って来たら入れ替わりで二人が出て行った。何をそんな慌てていたんだろう。思っていたより詰問口調になってしまっていたかな、と頭を捻っていると、じっとトリトを見てきているローの視線とガッツリ目が合った



「…ああ、そうか。 どうだロー、似合ってるか?ツナギ」
「あ…あ、ああ……」
「しかしツナギを着るのは工事現場のバイト以来だな」
「…"バイト"、あれから新しく何かやってたのか?」
「ああ、就職するまでの足がかり程度にな」
「そうか……」
「?」



どうしたのかローの顔が少し曇っている

理由は分からないが、ローの感情の起伏には機敏なトリトは、ポンとローの頭に手を置いた



「お前と過ごした2年間はとても楽しかった」
「!」
「これからどの程度まで世話になるかは分からんが、オレが"こっち"にいる間は、オレのことは"お前が"よろしく頼んだぞ?ロー」
「…」



ローが感じていた"責任"を察したのでもないのに、トリトはローの欲しかった言葉を的確に言い当てた。自分を任す、と言われたローはトリトの手に擦り寄る



「…ああ、今度は必ず、おれが、トリトを」

「おう。頼りにしてるぜ、ロー」




当然だ






prev next