恋情増幅 | ナノ
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目が覚めたら板切れに掴まって海を漂流してたなんて、こんな悪酔い初めてだ



二日酔いのようにガンガンと頭は痛むので、自分が昨夜、会社の部下たちを連れ立って居酒屋を何件もハシゴしたことは夢ではないらしい。
20代半ば過ぎまで成長を止めなかった190オーバーのオレの巨躯を部下たちがえっさほいさと担いでくれたような記憶はある。その後だ。それからの記憶が全くない。
上司思いの良い部下たちだから、こんな40手前の寂しい男ヤモメを路傍に放って帰るような真似はしないはず。と思いたい
ならば家に帰ったはず。意識を失くし、靴箱の前で突っ伏して寝たんなら、目を覚ましたオレがいるのは自宅の玄関だ。筈なのだ。それなのに



「……駄目だ……腰と足が冷えて感覚ないぞ……」



一体何時間こうして海を漂流してたのか。全くもって自分の置かれている状況が把握できないが、自分の生身の体が海に浸っているのは事実。このまま浸かり続けていれば、いずれオレの下半身は使い物にならなくなるだろう。それは困る。まだオレは自分の子孫を成していない。の前に成してくれる女がいないが、それよりも下半身の危機だ



「……誰か……助けてくれー…」



神様頼む。今日びまで真面目に生きてきたんだオレは。だのにこんな死に方ってあるかよ。もう誰でもいい。漁船でも巡廻船でも豪華客船でも海賊船でも何でもいい。何か通りかかってくれないか。そしてオレを引き上げて頂けないか。このままではガチで死ぬ。もう意識朧気。だれ……か…









「船長!!4時の方角に漂流者発見!」
「はあ?こんな海域で漂流者?どこの海賊団の奴だ」
「それが、スーツを着ています」
「漂流者がスーツ!?海賊じゃないのか?」
「どうしますか船長」
「まあ一応確保しておくか。引き上げろ」
「イエッサ!」




 おお……これはアレか。海の助けか







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