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「#幼馴染」のBL小説を読む
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「買い物は出来んだろ?」
「ああ、得意だ」



オレよりも少し年上なんだと紹介されたコックさんと仲良くなった。
年は教えてもらったが名前は教えてくれなかったから友人と呼んでもいい関係になってるのかどうかは分からないけど。しょうがないからそのまま「コックさん」と呼んでいる。勤めてた会社の部長とどこか似た雰囲気の人で親しみが持てた。

そう言えばオレって、結局どうなってしまうんだろうか。あっちの世界に家庭はないが家族はいる。年老いた母は、一週間に一度電話をしてきてくれていた。その電話が取られなかったら、母は心配するだろう。その後どうなるのか。どうなってしまうのか




船が到着したのはそこそこ大きな島だ。島、と言う場所に初めて来たから分からないけど、人も店も多いしつまり大きい島なんだろ。
島について早々、「じゃあ今から買出しチームを分ける」ローの班分けによると、オレはコックさんと一緒に重い食料の買出しだ。「そのガタイが見せかけじゃないとこを見せてみろ」とローに言われたから名乗り出てみたが、選択を間違えたかもしれない



「かなり買い込むもんなんだな」
「当ったり前だ。3日後の朝には、また長ぇ航海の始まりだぞ」
「酒班はもっと大変そうだ」
「ああ、皆酒が大好きだからな」
「なるほど」



腕にズッシリと食い込んでくる紙袋の痛みに泣きそうだが頑張る

その後何往復かして、ようやく今日買い込んでおかなければならない量の食材を買い終えた。何日かに分けて食材を揃えるのが普通らしい。その日その日によって、店先に並ぶ食材の種類が違うからなのだそうだ。なのでまた明日も行かなくては。だがその前に



「コックさん。これからは自由行動か?」
「ああ、トリトはそうだ。何か買うようにってキャプテンに言われてんだろ?」
「そうなんだ。コレで最低限必要な服と日用品買えって」



船から下りる際にローから渡された金を手に拡げる。通貨の価値がどれぐらいなのかは分からないが、隣に居たベポが「うわっそんな大金持たせちゃって平気!?落としちゃ駄目だよ!」って言っていたから結構な額に違いない。大金の小遣いを子どもから貰うなんて……緊張するじゃねぇか…!



「…まあ、見たところこの島にはあまり物騒な奴らはいねぇみてぇだしな。
大きい島だから迷子にだけ気ぃつけたら大丈夫だろ」
「分かった。じゃあ行ってくるよ」
「おう、気ぃつけろよ。アンタに何かあったら、おれがキャプテンからドヤされちまあ」
「おーけー」



買出しの最中に服屋なら見つけている。場所も覚えているし、船を止めている港の位置もバッチリだ。
迷子になんてならないさ





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