結局オレの身体をバラバラにした張本人は不機嫌そうにそのまま振り返りもせず食堂に行ってしまったので、シャチ君とペンギン君に身体くっつけて貰いながら(久々の不思議な感覚だった)オレも食堂へと案内された。小さいながらもしっかりとした設備が整っており、何でも腕の良いコックがいて毎日飯が美味しいのだとか。それはいいなあ。生きてる価値が毎日感じられるってことか
もしもローが船を拡張する時が来たら、その時は食堂を広くしてほしいのだと言っていた
食堂に入ると中で先に食事をとっていたローと目が合ったが、フイっと逸らされてしまう
「ロー …ってまだ不機嫌なのか」
「どうしてキャプテン不機嫌なんすか?」
「オレは知らないよ。今ローの隣に行っちゃマズイかな」
「そうみたいですね。じゃあトリトさんはおれ達の隣で食べますか」
「そうするか」
よく見ればローの隣にはあの時の熊…ベポだったかがいるし、不機嫌な理由らしいオレが傍にいるのはローも嫌だろう。全く理由が分からんけど
コックから回ってきた朝食をペンギン君から受け取って手招きしてくれたシャチ君の隣に腰掛ける。おお…本当に美味そうだこのメニュー…しかし何故白ご飯にお味噌汁?意外に和風だ…
「おお、おいしい」
「ですよね!?美味いでしょ!」
「そうだな。シャチ君の言ったとおりだな」
「でしょでしょでしょー……… !?」
「? シャチく…」
「…シャチ君、じゃねーよ」
「……ロー!?あれ、さっきまでここにはシャチ君が…」
いきなり隣に座っていたシャチ君がローに変わった。何を言っているのかは分かるかとは思うがオレにはなにがなんだかサッパリだ
すると、先ほどまでローが座っていた席からシャチ君の声が聞こえるではないか
「トリトさ〜ん…おれならココで〜す…」
「あんなところに!?どうやったんだロー」
「俺の能力だ」
ニヤっと笑ったローが人差し指をオレに向けて振ってくる。気障な仕草だな
しかしそれよりも聞こえてきた単語に驚いて、そのローの人差し指をガシっと掴んだ
「バラバラにするだけじゃなくなったのか!?」
「編み出した。対象の場所を入れ替えることが出来る」
「ほー…! すごいじゃないかロー!」
「!」
「ちゃんと努力してたんだな!偉い偉い」
「ど…努力とか、そんなんじゃ…!っつーか…おれ怒ってたんだけど、あ、あと頭撫でんな…」
お前は努力もする天才だからな!本当に、オレはローのこう言うところが保護者の1人として誇らしい!
まだ上手く使いこなせないけど、と眉を下げていたあの頃のローは、今のローを嬉しく思うだろう
だってオレも嬉しい
「ああ、そう言えばロー お前さっきはどうして不機嫌になっていたんだ?」
「……もういいよ なんでもない」
「そうか?」
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