話が一応だが一件落着を迎え、
目下トリトに降ってかかった問題と言えばこれだ
「じゃあトリトの寝る部屋は俺の部屋になるな」
「…はあ!?」
「いいだろ別に。若い女とじゃなくて、俺となんだから」
「い、いやまぁそこは良いんだが…」
ローがこう言って譲らないのである。
散々ローに諭され船に残ることは承知したが、
この船の一船長であるローと寝室を共にするのは、邪魔極まりないと思う
「…まあ 俺が名を上げて、金を手にいれて船を拡張させたら、アンタの部屋も作ってやるさ」
「本当か?」
「俺の隣にな」
「…それでも隣か」
「ああ。それまでの間だけ俺の部屋で寝る、でいいだろ」
そうまで言われてしまえば妥協せざるを得ない。
「…オレはローがいいんなら文句はないぞ?」
「そうか。でも俺は割と夜更かしするタイプなんだ。老体には少々キツイかもしれないぜ?」
「…善処してくれ」
「それとも、アンタが俺を寝かしつけてくれるのか?」
「!」
子どもの時みたいに、と笑ったローに恥ずかしいことでもないのに何故か顔が熱くなる
しかし言った本人は、そんなトリトの様子をニヤニヤと笑っている。それが癪で
「…お望み通りにしてやろうか?」
「……ヨロシクな、オトウサン?」
ニコニコ
ニヤニヤ
今二人の間に流れているこの空気は何だろうか、とクルーは背筋が寒くなる。
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