▼02 海で生物を解剖する日課をしていたこと、しかし気がつけばここにいたこと、元いた自分の場所のこと、能力のことは今はとりあえず隠し、自分で分かっていることを素直に打ち明けた。何故打ち明ける気になったかと言われれば、利用出来る奴は利用しないといつまで経ってもこの状況が変わらないと考えた結果だった 男――トリトは、ローから聞かされた言葉に頭を抱えていた。何てアニメチックな。何を言ってるんだこのガキは。いやローと言ったか。何を言ってるんだこのローは。だが、まだ1時間にも満たない交流の中でだが、このローと言う少年が、そんな空想染みたことを言うような奴には思えない。窓もドアもキチンと施錠していたにも関わらず、こじ開けた形跡もないのに朝からこのガキがウチに居たことは、今ローから聞かされたことを鵜呑みにしないと説明が付けられない 「…じゃあロー、お前の親御さんは…」 「少なくとも、こっちの世界にはいない」 「……」 何だなんだ、何故こんなことになった。今日は大学が休みで良かった。でなければ遅刻だし、講義を聞きに行けるような場合でもない 「帰る目処みたいなのってのは…」 「おれが分かるワケないだろ?」 「だ、だよなー…」 完全にうな垂れてしまったトリト やはり駄目か、とローは思った。元いた場所に帰れるように、協力してくれる人物を求めて、というか目の前のトリトにしか頼れそうな人間を知らないローにとって、トリトのこの態度はどう前向きに考えても協力的なものではないだろう 「…やっぱり、助けてはもらえ 「しょうがないな!!俺のボロい部屋にお前が落ちて?来たのも何かの運命だろ!ローが元の世界に帰れるまで俺が面倒看てやる!」……は!?」 日本人の人のよさ舐めんな!!!とヤケクソのように叫んだ。 何か分からないが、トリトが、ニホンジンで良かった |