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そうしたこうしたで、トリトとローが共に住み出して早半年と数日経った

ただの大学生、バイターであるトリトが今日までローと自分を養ってこれたのも、全てローが年不相応に手のかからない子どもだったからだ。食べる飯の量が少なくても文句は言わない。嫌いなものは沢山あると答えていたが、食卓に出したものは全てキッチリ食べきる。留守番もソツなくこなしてくれる。しかもローは進化を重ねていたらしく、今ではベランダに乾している洗濯物を取り込み、インターホンが鳴るとドア窓を覗いて『帽子を被って大きい箱を持った人間』だった場合、それを配達員と見なし荷物を受け取っておいてくれる。「サインを」と言われたらあの小さな丸の中に「Trafalgar Law」と書く。お陰で配達員の兄さん達はいつも目を丸くして「あ、あざしたー」と言って帰るらしい。トリトが近所の学習塾の店頭で貰える無料学習ドリルを毎日取ってくれば、トリトが帰ってくるまでの宿題と課し、いつの間にか小学生で習う漢字を読み方書き順全てマスターしていた。近々中学生用のを取ってくるか。出会った当初はクッキリとしていた隈も、今では大分薄れてきている。被っていた帽子を取り、少し伸びていたローの髪を切ってやったのもトリト。散々「変にカットしたら身体バラす」と本当にされそうな脅しを受けたこともある。だが未だに風呂は渋る。そこが謎だ




帰る目処もまだ見つかってないが、ローがこの生活を嫌がってはなさそうなので保護者となったトリトも安心している






そう、安心していたのだ。トリトがローを育てるようになってから、少し気を張り詰めていたところはある。小さな子どもの面倒など自分で見れるのか、と危惧していたが、杞憂に終わったことで緊張の糸とか、そう言うのがプチっと切れてしまったんだ





「たー……だいま…」



クッタクタになっての帰宅だった。生活費を稼ぐ為にバイトのシフトを増やした。学業とバイトの両立、一日の疲労が一日で取りきれていない。溜まりに溜まった疲労の零れたものがピークになった一日だ
ただいま、とドアを開けて、いつものローの出迎えがないことに気付いた



「ロー…?」



リビングに入ってみれば、ローはTVに夢中だったようだ。何が面白いのかそんなN●K
どこかの大学の教授が何かよく分からん生物の生態を延々と解説している。それにローは見入ってるようだ。帰りに気付いていない様子に、トリトは少しイラっとした



「ロー ただいま」
「!」



あぐらを掻いていたローの背後に立って声をかける。
ローからしてみれば、いつの間に帰ってたのか、いつの間に後ろにいたのか、ドキドキと動悸の早い心臓が煩くなっている



「お、オカエリ」
「オレの帰りに気がつかないぐらい夢中になってたのか?」
「面白かったから、つい…」



少し不貞腐れた声を出してしまっただろうか。しかしローはオレを一瞥しただけで、また画面に視線を戻してしまった














苛立ちなんて突然、理不尽に襲ってくるものだ
理由?あるけど口になんて出せるか余計嫌な人間になっちまう