▼13 自分らしくもない行動をした。ローは直ぐにそう後悔した しかし初めてだったんだ。トリトが、トリトの友人とああして付き合ってる姿を見るのは 自分はこの世界でトリトにしか頼れる人物も知り合いもいないのに、トリトはそうではないと言う現実をまざまざと突きつけられた気分だ。分かってる。トリトには、自分だけではない。分かってる。分かってはいるが、認めたくないことだってある 家の鍵を開けるトリトの顔を見れない 結局、トリトがあんなに意気込んでた特売にも行けなかったし、何も買えなかった 別に家に帰ってこなくても、アイツ等がいない所に行けたらどこでも良かった。だから、別のスーパーに行くようにすれば良かったのかもしれない でもあの時、トリトの手を引いたことには、ローは何の後悔もしていなかった 「…よし、んじゃ宣言通り、今日はラーメン食うか」 友人達と無理矢理サヨナラさせたのに、トリトは人の良い笑顔で笑ってくる ローは理解している。あの時、トリトが友人と呼ばれる男と笑い合っていた姿を見て、苛立ってしまったことを 「………わるい」 「ああ、気にしてないさ」 トリトは知っている。あの時、ローがトリトの手を掴んで泣きそうな顔をしていたことを 湯を沸かす準備をしながら、トリトは、未だ俯いてしょぼくれているローと目線を合わせる為にしゃがみ込んだ 「誰にだって、こんなことしたくなる時があるもんだ」 「……本当に?」 「おう。もしかして、ローは初めてなのか?」 「…?」 「"嫉妬をする"のがさ」 「!」 しっと しっと シット 嫉 妬 ああ、あれが、 嫉妬か コクン、と頷いたローに、トリトは本当に嬉しそうな顔して笑った。トリトのその顔と、頭を撫でられる手の暖かさに、ローは泣きたくなった。 しかしここで泣いてしまえる程、ローは素直な子どもでは無かっただけで |