▼09 「た、だいまロー!ちゃんと留守番できたかー、って、おおおうっ!?」 「オカエリ」 「おまっ、ビックリするだろ!」 ローのことが心配で、かつてないスピードで電車に乗り込んで猛ダッシュで帰って来た 鍵を開けて中に入れば、玄関で仁王立ちしていたローに驚いて仰け反った。今ここだ 「な、なんで仁王立ちしてたんロー」 「お前の足音が聞こえてきたから迎えてやろうとしただけだろ」 「……お、おー…迎えてくれようとしたのか…」 確かにローはお帰りと言ってくれた。真正面からの出迎えを受けたのは久々だ そう思うと、腕組みして仁王立ちして待っててくれたローが愛いく見える。トリトの気分は既に保護者と言うか、お兄ちゃんになったようだ 小さいローの為にしゃがんで目線を合わす。急に近くなったトリトとトリトのニコニコ笑顔にクエスチョンマークを飛ばすローの頭を引き寄せた 「ありがとう、ロー」 「…!!」 ローの青白い頬が少しだけ赤くなった。あぁ、お前のそこもちゃんと赤くなるんだなぁ 「ん?勉強が好きなのかお前。変わってんなぁ」 「いいだろ、べつに」 昼の文字を教えると言う約束を、ローは夕食を食べてすぐに出してきた。余程楽しみだったのか?と思い訊ねれば、TVを見ていてもトリトの本をパラ読みしても、書いていることが分からないのがもどかしいのだと言う。意外に勤勉家だ。伊達に手術好きではないということか。意味は分からん 「うーん……」 「なんだ?」 「教えるのはいいんだが、いざ教えるとなったらどこから手を付けりゃあいいのか」 「どこからでもいい。全部覚えれる」 「……凄いなお前」 その言葉通り、ローは2時間でひらがなとカタカナをマスターした 直に漢字も読め出すかもしれない。やはりコイツは将来大物になる。予感だ |