OPend | ナノ
×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


▼ ゾロ(♀)の場合



世が世であれば、ボクの彼女は世界一の大剣豪になっていたかもしれない
前世でもその才能が爆発し止まるところを知らなかったと言うのに、女になっても力が損なわれていないとか神様の授けた奇跡なんではないだろうか


「次ィ!」と向かってくる男相手に怖気付くことはなく、真正面から見据えてたった一手で相手を道場の床に沈めている鬼神の如き女の子がもう一度言いますがボクの彼女です
そしてそんな戦場のように死屍累々としている道場に恐ろしくて脚を踏み込めないまま、戸口でおっかなビックリしているのがボクです。男のまま生まれ変わりましたが、彼女にビクビクしているところが変わっていないところは、多分神様が手抜き工事をしたんだと思います。そこは改善して貰いたかった。どんな事にも動じない豪傑な男になりたかった




「ゾ、ゾロ〜 もうその辺にして、こっち来て〜」
「…ナマエ?いたの」
「結構最初からい、いました〜」
「なんだ…なら声を掛けてくれればよかったのに」




何遍もかけたんですよ。でもその度にゾロの声に掻き消され続けただけで
「5分休憩!」と倒れている人たちに声を掛け、歩いてきたゾロにボクは持っていたタオルを手渡す。気分はマネージャーだ。と言うかゾロ、その5分って、ボクとの会話をたった5分で終わらそうとしたがってるってことですか、泣きません慣れてますから



「…救急箱なんか用意して…ナマエはアタシが怪我するって本気で思ってんの」
「お、思ってないけど!万が一、億が一ってことがあるかもだし!ほら!」
「……まあ、アンタのそう言う心配性なトコ、嫌いじゃない」
「…あ、り、がとう?」
「…………」
「疑問系ですみませんありがとうございました」



首に突きつけられてるのは竹刀の筈なのに、切られそうな恐怖に落とされるのは最早ゾロの気迫の勝利としか言えない


袴姿だからゾロが股を大きくおっぴらげに座っても心配はないから安心。こんな時ゾロが袴でよかったと思うんだよね。



「と言いますか…ゾロは今世でもこんなに強くなって一体何を目指すおつもりで…」
「目指してるモノなんてねぇよ」
「え、じゃあ何でかな」
「別に。ただナマエを護ってやれる程度には力を付けたくてやってたら、こうなっただけだし」
「ゾロ…!このトキメキ泥棒さんめ…!」
「アホ言ってないで、このまま見てくつもりならアンタこそ飛んで来る竹刀には気をつけるんだね」
「はい、もう当たらないように気をつけます」



前に他の生徒さんが持っていた汗ですっぽ抜けた竹刀が見事ボクのおでこにクリーンヒットしたことがあったので、その事です。その時はゾロに仇(?)を取ってもらいましたが、アレは地味に痛かったので今後そう言ったことはないように気をつけながら、
月子姉ちゃんの如くゾロを見守り続けたいと思います






prev / next