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▼ サンジ(♀)の場合

完全なるセクハラだ。

フリフリのレースがあしらわれたミニスカートの制服を気に入って一年前から働いているカフェのバイト先にどう好意的に見ても私のことをえっろい目で見てくるオッサンの客が最近出入りするようになってしまって気が滅入る、なんてものじゃない


私の美脚はナマエを喜ばせる為だけに磨き私の胸はナマエを受け止める為に膨らみを持ち私の唇はナマエの唇を潤す為に手入れし私の腕はナマエに美味しい料理を作りナマエを抱き締め返す為だけに存在してるのであって決してあんなクソ芋クサイ男を楽しませる為にあるわけじゃないのよ分かってんのかしら



学校終わりに急行したせいでバイト中も手からは仄かに課題料理の材料だった玉ねぎや鳥肉やらのクサみ臭がプンと漂ってくる
背中も汗でベタついているような気がするし、これからナマエと会う約束をしてるってのにこんなコンディションでナマエの前に出れますものか!



「サンジー?まだ着替えてるー?」
「あ、もう終わりまーす!」


従業員ロッカーでモンモンと考え事に耽り過ぎたみたい

先に着替えて店仕舞いをしてた店長(女性)が戸口からヒョコっと顔を覗かせる


「じゃ早くしたらー。表で彼氏さん待ってるよー」
「ナマエが!!!はい今行きまあああああすお疲れ様でしたああああああ」
「はーいお疲れー」


シターン!とタイムカードを突っ込み、コートも手に持ってバタバタと裏口から店の外に出る。シャッターの閉まった入り口の前のガードレールに腰掛けて、「おっ、来たきた。お疲れ〜」と声を掛けてきてくれる優しさが見え隠れ出来てない稀に見るイケメンはそうなの私の恋人です…!あげない…!


「ゴメンね!寒いのに待っててくれたの!?」
「大丈夫、大丈夫。サンジこそコート着たら?」
「いつもバイト先まで来ないのに…今日はどうしたの?何かあった?」
「うーうん。たまには出向くのもいいかなーって」


あわよくばサンジのミニスカバイト服姿が見れるかなと思ったけど、今日は見れなくて残念。たはは、と笑ってホットの缶コーヒーを飲み干すナマエに胸がドキドキを止めないんだけどどうしよう死んじゃう…!



「じゃ、行こっか。デートでーと」
「うん!」
「はい」
「んっ!」


ナマエが開けてくれた腕の隙間に両腕を絡めてコレでもかと密着する。この瞬間こそが1番嬉しく楽しくなる。


「…でね!最近バイト先に変な目で見てくるジジイがいるの」
「聞き捨てならないな。どんな奴?」
「ジロジロ私の胸と下半身ばっか見てくるの。セクハラよ!」
「…セクハラだな。確かにサンジは美人可愛いし足も美脚だがだからと言ってオレ以外の男が見てるのは許せないな」
「美人って…!可愛いって…!照れる…!!」
「ホントのことだろ?」
「そ、そうかな!」


そーだよ。ナマエが歩くのを止めて立ち止まる。それに合わせて私も足を止めた。
周りに人はいない。それを確認したナマエは、普段は左目にかかっている私の前髪を上に上げて、「今は外だから、ここにな」と言っておデコにキスをした。はあああ…!ちゃんとやるところは決めてるのにキチンと節度も守るナマエほんとカッコ良い…!


「家に帰ったら新作ケーキ作るね!」
「おっ!そりゃ楽しみだ!」


ナマエは甘党だから、クリーム多めにしてあげるのよ!
もうっ細部まで可愛いとかどうなってるのナマエって!ナマエって!



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