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▼ メタモルフォーゼ


「あっちィ!」
「うん…たしかに」
「あっちィんだよナマエ!」
「うん、で?」
「だから!あっちィって!!」
「そっか。 だが離れない」
「ぜったいドヤ顔してんなテメェ!離れろ!何なんだこれイキナリ!」



今の状況?ゴミ山で拾って近くのゴミ川で洗濯した誰かのボロマントを頭からすっぽりキッドに被せて抱きついてるとこ。摺り寄せた布生地からはプンと川の藻みたいな臭いがただよってきたけど大丈夫、ボクはキッドが臭くなっても縁を切らない自信がある



「あらりょうじ」
「あ?アラリョージ?」
「20年も待てないでしょ?お互い」
「…おい待て、話の筋がイマイチ掴めねぇ」
「嘘吐きー、分かってんだろー?」



おーいおい。マントの上からでも分かるキッドのツンツンの頭を軽く叩けば、左腕、らしき部分から伸びてきた突起がおれの腹をゴスゴスと小突いてきた。倍返しなとこがキッドらしい



「冬の季節にはこうやって寄り添って寝てたじゃん」
「……凍死とは引き換えにできねぇからな」
「ボクはそれ以外にもキッドとこうしてたかったけどねー」
「は!?お前何言ってんだ!?」

うんホント、なに言ってんだろねボク

「…で、ナマエは結局何がしてぇんだよ」
「言ったじゃんか。荒療治」
「だから!その荒療治を理由におれに抱きついてんのは何でかって聞いてんだよ!」



布を被ったおばけみたいだねキッド。バサバサとマントの下で暴れてるのがよく分かる

「ボクはさ、バカで学もない孤児だから、医者の言ってることもあんまりよく理解できてないし、この方法が余計悪くさせるかもしれないってのも分かんないからさー、色々試そうと思って」
「……だからっておれにくっついてんのを許すと思ってんのか」
「許してくれるでしょ?だってキッドだもんね」
「………けっ」


否定されない時は許されたときだ



ぎゅうぎゅうって腕の力を強くすれば、布のお化け君は抵抗しなくなったから好都合






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