▼ もうすぐおとな
ぐすぐすぐす
ナマエが鼻水啜る音って、こんなに不愉快だったっけ。
こんなに耳障りだったっけ。聞きたくねぇなあスゴく
「…あっち行けって」
「だってボクが向こう行ったらキッド泣くでしょ」
「は?泣かねーし、バカかおまえ」
泣きべそ掻いてやがんのはどっちだよ、お前だろ、泣いてんのはおれじゃねーよ、転嫁すんな
「……昨日医者に聞いたんだー」
「なんて」
「治す方法って、あるんですかー?って」
「…そ、れで?」
「あるにはある、って言われた」
「…なんだそのアバウトな感じ」
黒い手袋で、ゴミ山に埋もれていたガラクタ拾い上げて
漂ってきた鉄の臭いに、すぐに鼻を赤くさせたナマエ
「時間を掛けて、慣れてかなきゃいけないんだってさ」
「……どんくらい掛かんだよ」
「20年が目安だって」
「20年!?」
それまでずっとお前そんな感じなのか!?
らしい
どんっっだけだよ!どんっっだけだよ!
ほんとにね。20年とかボク等、大人になっちゃってるしね
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