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▼ ふたりで生きていけないのならぼくはきみのために死ぬ



ナマエがベッドの違和感に気付いて目を覚ますと、そこにあったのはいつもの高い天井ではなく「起きたか」と声をかけてくる幼馴染の姿と木目調の低い天井だった。

「ホーク…?」幼馴染に声をかけながら体を起こす。
そこでようやく違和感にも気付いた。
ゆらゆらと体が揺れている。気のせいか部屋全体も



「…?ここは、どこだ?」
「海の上、おれの船の中だ」
「そうか…海の……… は!?」



たしかに船室のように思える。いやしかし何故ここに自分がいる!?
慌ててドアの外に飛び出してみると、確かに大きなクリッパーの上だ
ナマエは昨夜の自分の行動を冷静に思い返してみるが、やはりこんな事になるような行動は起こしていない。いつものようにつまらない家族の食事を終え、すっかり性格の変わってしまった婚約者のご機嫌をとって、どっと疲れてベッドに入ったはずだ



「一体どういうことだホーク!!」
「実は、かくかくしかじか」
「なるほど……って分からん!分からんぞホーク!」



ちゃんと根詰めて幼馴染を問いただせば、よく当たるホークの占いの結果でオレの今後の人生が散々だということが分かり、落魄れる家を継がすぐらいなら一緒に海賊になってもらおうと了承も得ずにここまで連れ浚った事態だ、らしい



「………なるほど……」
「…怒るか?」
「いや…何か、そんなことどうでも良いやって状態だ」



穏やかに海を渡る船から見えるのは、やはり青い海
山の上から憧れていただけの海が、今目前に広がっているのだ
こんな凄いことってあるか!



「…喜んでる?」
「ああ!」
「なら…よかった」



一応ナマエの顔を窺っていたホーキンスは、その言葉に安心したようだ



「そうだ、これ ナマエの荷物」
「そんなものまで用意してくれたのか?」
「適当に詰め込んできただけ」
「そうかー…あ」



ナマエが手に取ったのは、ホーキンスが持ってきたナマエの本
その中の数冊は、航海士関係の内容の物だった
ナマエが密かに集め読んでいたもの。その知識を生かせるようになるだろうか?




「…えらく閑散としてるが、乗員はオレとホークだけか?」
「そうだ」
「そうか。仲間増やし、楽しそうだな」
「そうだな」
「突然のことで多少驚いてるが…まあ家の方は弟が継ぐだろう」



その弟が継いだとしても落ち目を見るのだが、まあそれは今は伝えないでもいいことだ



「よろしくな、船長」
「ああ」



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