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▼ 生存者






「サッチいなくなってたぞメガネ」
『ええええマジで!?』
「布団の中がもぬけのカラ」
『外に出てるとかは?』
「机に出しっぱだったオレの数学のノートに書置きがあった」
『なんて?』
「"イケメン君、メガネ君 どうもありがとう"」
『判断つかない…』
「帰ったんじゃねーの?」
『滞在期間1日のトリップ体験?』



とにかくとやかく言ってもいないものはいない。夢だったような気もするけど布団出してあげてるし書置きもあるし。一応親にもそれとなく訊いてみたのだけど、親は「何の話?あんた昨日友達泊めてたの?」なんて言う。どう言うことだ?昨日あれだけ強烈な見た目の奴を1人泊めると言ったじゃないか。朝だから寝ぼけてるのか?まさかそんなわけ




一先ず着替えて朝食食べよう。シャツを脱ごうと腕を上げた瞬間に、電話が来た



『ナマエー!凄いよコレどうなってんだろ!?』
「何事」
『とにかく来て僕んち!』
「え、面倒」
『いーからお願い!後で奢るから!』
「よし」







「来た」
「はや!まぁイイやちょっとこの巻からこの巻読んで!」
「ワンピース?なんで」
「いいから!」
「…はい」



オレに対しては時に強い態度に出るこいつは何なんだ一体
言われた通りに読んでいると、ん?と思う箇所が多々ある



「サッチ、生きてんじゃん」
「でしょ!?」
「あれ、でもこの巻って昨日読んだときはこんな話じゃなかったくねーか」
「そこなんだよ!!昨日はちゃんと普通にエースが黒ひげ追って"バナロ島の決闘"を繰り広げてた箇所が全く違うこと描いてんの!なにこれこわい」
「サッチ、ヤミヤミの実使いこなしてるじゃん」
「それもビックリ!」
「どうなってんの?」
「僕もネットで調べてみたんだけどさ、なんか、ワンピースは元からこの"サッチ生存ルート"?の話だったんだって…だーれも疑問に思ってない。『サッチ生きてるじゃん!』って驚きの声も一切見られず」
「………もしかしてオレら」
「……マンガの内容、変えちゃった…?」



シーン
落ちた沈黙をしかし吹き飛ばす



「いや、でも最初に関わってきたのは向こうからだ」
「そ、そうだよね!僕らなーんにも悪いことしてないよね?困ってた人の話を親身に聞いてあげたくらいだよね?」
「うん それに加えてヤミヤミの実を食えと言ったくらいだ」
「それが原因のような気がプンプンするー!」
「いやまあでもサッチ元気そうで良かったじゃん」


手元のマンガの中に居るモノクロのサッチはヤミヤミの実を使いこなして立派に白ひげの隊長やってるみたいだ
その傍らにはルフィの兄ちゃんやおっきい白いオヤジもいて、何やらとても幸せそうである



「コイツ等死ななかったら、この先なんか不味いことでもある?」
「いやそれは…作者さんの頭ん中見たことないから…」
「じゃあもうほっとけばいーだろ。オレ達は、善良な市民として人助けを行いました。はい終わり。飯食いに行くぞひきこもり」
「えっ!今から!?朝マックぐらいなら…」
「よしそれでいい。奢ってくれるんだろ?」
「あああそうだった」



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