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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ 厄介者

気をつけてね!何かあったら連絡して!リンちゃん聴いてなかったら直ぐに駆けつける

友人の勝手な激励を受け流して、オロオロと遠慮してたサッチの腕を突っついて「早く帰りましょー」と声を掛ける。サッチは漸く安心して後ろをついてきた。行きも思っていたが、結構上背がある。顔についている傷も、なかなかに物騒だ。男でオッサンで、の前に、人相で親から拒否が出そうだな。と思う



「とりあえず、あんま期待はしない方向で」
「悪いなぁ、本当に」
「……心からそう思ってくれてんなら、恩知らずでは無さそうなんで安心です」
「まだおれの性格掴み損ねてる?」
「そりゃそうでしょう。3コマ+台詞だけじゃあ何とも」
「イケメン君は、気だるそうに見えてお人好しだな」
「…それ、アイツにも言われた」
「メガネ君か?いい友達じゃねぇか。おれにも、2人みたいなダチがいるんだ」



イケメン君みたいに、気だるそうな見た目に反して熱い心を持った男と
メガネ君のように、いつも楽しそうに振る舞いお節介を焼く男を


空を見上げて何処を見ているんだろうか。その先には決して見えるはずのない自分たちの世界が見えてるのかもしれない
生憎、オタク趣味もトリップ云々のことも何も分からないナマエだが、
故郷を思う人間の辛さぐらいなら何とか推し量れる
ぼうっと突っ立ったままのサッチの腕を引っ張って先導する



「あんまぼうっとしないでくださーい」
「はは、すまね」
「…メガネも言ってましたけど、どーせいつかは帰れますって。不安がるだけ無駄かと」
「だな。こっちの世界ではおれが死んでたとしても、あっちの世界でおれは生きてみせるぞ。オヤジと、エースのために」



そこ、自分のためじゃないんだな。変な人だ



















「…………今日だけ、なら」




普段から親に頼みごとをしない息子が言った言葉に出した親の結論は、苦渋に満ちた譲歩だった
怪しい得たいの知れない男をあの無気力無関心な性格の息子が連れ帰って来たのが珍しくて、判断は鈍っていないだろうか。朝起きたら息子の、最悪のケースならば一家全員の死体が家に転がっていた、なんてことになりはしないだろうか
「あ、ありがと!ございます!!」と叫んで直角に腰を曲げて何度もお礼を言うこの男に心を許してはいけない。今日は自室の部屋の鍵を閉めて寝るように子ども達に言い渡す。長男は相変わらずの声で「迷惑かけさせないよう、気ぃつけるから」とそれだけ言ってさっさと自室に入っていった。普段は掛けない鍵までキッチリかけて。
ナマエはああ見えて小さい頃から少林寺を習わせていたから少しなら自衛手段はある。大丈夫よね、と母は頷き、この話をここまでとする




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